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2007/06/09

『ファルスタッフ』(ザルツブルク音楽祭)

Dvdfalstaffsalzburg DVDライブラリーより。

カラヤンが遺した『ファルスタッフ』の映像。ここで既に扱った『カルメン』(1967年)や『オテロ』(1972-73年)なんかのオペラ映画と違って、舞台公演を収録したものです。演出までカラヤンが手掛けているので多くは望めませんが、美術は立派だし、内容も淡白ながらも的を得た構成を見せていて、感心させられます。歌手陣にはなるほど豪華な面々が並んでいるので、実に楽しく、味わいがある舞台となっています。タッディのファルスタッフのお腹にもうちょっと豪快さ(?)がほしい気がしますが(笑)、ツェドニクのバルドルフォに妙に存在感があったり、ルートヴィヒのクイックリー夫人がどうにも人懐っこかったりするのも、らしくて面白いです。アンサンブルで楽しめる、優れた公演だと思います。

★★★☆

ファルスタッフ:ジュゼッペ・タッディ
フォード:ローランド・パネライ
フェントン:フランシスコ・アライサ
カイウス:ピエロ・デ・パルマ
バルドルフォ:ハインツ・ツェドニク
ピストラ:フェデリコ・ダヴィア
アリーチェ:ライナ・カバイヴァンスカ
ナンネッタ:ジャネット・ペリー
クイックリー夫人:クリスタ・ルートヴィヒ
メグ:トゥルデリーゼ・シュミット

合  唱:ウィーン国立歌劇場合唱団員
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー
指揮・演出:ヘルベルト・フォン・カラヤン
美  術:ギュンター・シュナイダー=ジームセン
衣  裳:ジョルジュ・ヴァケヴィッチ

[  収録:1982年、ザルツブルク音楽祭  ]

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コメント

 この年はほんとうに《ファルスタッフ》が多かったですねえ…。これがあって、カルロ=マリア・ジュリーニがフィレンツェとロス、小澤征爾がパリ、それからマゼールが何処かで…。
 それにしても、カラヤンは必ずしもいつも自分で演出をやるわけではなくて、この時期《フィガロの結婚》はポネルを使ってたりするのに、選りに選って《ファルスタッフ》を演出家抜きで済ましちゃうのは手抜きだなあ!…。
 そういや、ついこないだここで紹介したストレーレルの『人間の演劇』(テアトロ社)の中に(1)、演劇界の「帝王」によるカラ帝批判というのが入ってます。同じザルツブルクの《魔笛》で、帝王+帝王…で無敵の《魔笛》ができるだろう、と二人をくっつけちゃったら、案の定大喧嘩(笑)。カラ帝がいかに演出の現代的意味を判っていないか…という趣旨の批判文なんですが、その現代的意味での演出の定義なんかもちゃんと書いていて、結構面白いですよ。

(1):http://orfeo.cocolog-nifty.com/orfeoblog/2005/11/post_cb55.html

のコメント(2007/05/30 11:22)
きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/09 09:10


きのけんさん、どうもです。

カラヤンの演出は見易いですが、所詮交通整理で終わっているところが物足りない部分ですね。ストレーレルとの大喧嘩、そりゃまた面白そうだ!(笑)

投稿: Orfeo | 2007/06/09 13:37

タッデイは、この時66歳ですよね。ライモンディもそろそろ66歳、だからどうなんだって....
ライモンディも最近はファルスタッフ漬け、16日からボローニャで、トリノの来シーズン開幕公演でもファルスタッフをやりますよ。

タッデイって、ライモンディが16歳でミラノで勉強はじめたときから、なにかと相談にのってくれて、声楽の先生の紹介なんかもしてくれている、親友で大先輩なんですよね。年も25歳も違いますから、お父さんのようなもんですね。
パネライも親友で先輩だわ。オペラ歌手って、こういう繋がりでけっこう動きますよね。

このファルスタッフ、歌手が揃っているのに、なんか面白くないのは、カラヤンのせいなのかな..(笑

きのけんさん

>それからマゼールが何処かで…
何処かって、これって、きのけんさんわざと書かなかったのかな?言っちゃっていいですか。(笑
演劇界の「帝王」ストレーレルの演出でミラノ・スカラ座ですよね。

魔笛の話は有名ですよねって、ストレーレルが喋ってるんですよね。

投稿: keyaki | 2007/06/09 14:07

>歌手が揃っているのに、なんか面白くない
なんか地味〜〜って感じです。アリーチェの衣装なんかも確か黒っぽくて・・

>魔笛の話
ルネ・コロも自伝でしゃべってますね^^;

投稿: edc | 2007/06/09 14:19


>keyakiさん、edcさん
あらら、評判悪いんですねえ、これ。今まで、この場でカラヤンに関して酷いことばかり書いてきたので、今回はちょっと心を入れ替えようかな、と思ったのですが、駄目?(笑)

スカラ座でのストレーレル版は95年の春先に再演で見ました。指揮はムー帝でしたけど。あれはその年の秋に来日公演で持っていくための予行演習だったみたい。あの舞台もまた見事な美術でしたが、あのプロダクションが映像化されていないのは哀しいですね。。。

投稿: Orfeo | 2007/06/09 15:49

keyakiさん:

>何処かって、これって、きのけんさんわざと書かなかったのかな?言っちゃっていいですか。(笑)

 いえいえ、わざとじゃないです(笑)。当時マゼールはスカラに連続出演していたんで、スカラ以外ないとは思っていたんですが、ちょうどこの前年だかに欧州では、この年の《ファルスタッフ》同様、《トゥーランドット》大会がありまして、これが同じくカラヤン(ザルツブルク)、小澤(パリ)、マゼール(スカラ)だったもんで、…あっ、あれと混同してる!、って慌てて「スカラ」を後から削除しちゃったんですわ。

>演劇界の「帝王」ストレーレルの演出で

 …その後、今度はマゼールがパリのシャトレ座の《フィデリオ》でストレーレルと大喧嘩(笑:でも、ストレーレルの場合、ちゃんと公演はあるから不思議…)。あの指揮者はサイテーだ!なんて言ってましたが、ストレーレルにとってサイテーの指揮者ってのが何人もいるみたいで、カラ帝、アバ帝(スカラ座での《ローエングリン》)、マゼ帝…。従順だったらしいムー帝だけは帝王の雷を落とされてないですね。要するに自分に反抗する奴は全部サイテーだったらしい(笑)…。そうそう、ストレーレルというのは相当の暴君で、パリの《後宮》では、あっさりジェイムズ・コンロンを追い出しちゃったぜ。そうだ、いつかの Orfeoさんの記事ではショルティもサイテーでしたよね。
 そういや、シャトレ座ではリスネルとも大喧嘩してるよ。あれはブレヒトの《三文オペラ》の時、例によってリハーサルが間に合わないんで、初日延期を主張したら、リスネルが断固反対(確か、当時はシャトレ座の経理部長だったはづ)。ストレーレルが生きてたら、ひょっとしてリスネルのスカラ座任命はなかったかもね。
 お礼!

きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/11 11:48


・・・「総裁」はともかく、「芸術監督」をリスネルが名乗っていることを知ったら、ストレーレルは激怒したでしょうねえ!いったい何様だと(笑)。

投稿: Orfeo | 2007/06/11 15:53

>いったい何様

(笑)いや、ストレーレル側だって、ちょっと強引過ぎるところもあったんだよ。件の《三文オペラ》の時なんか、シャトレ座の定期会員とストレーレルが総監督を務めていたヨーロッパ劇場=オデオン座の年間会員の両方が入ってきてて、切符の売れ行きも上々だったし、直前に初日延期だなんてことになったら、えらいことになっちゃうんだよね。ミラノのピッコロ座だったら、御大の命令一下できちゃうんだろうけど、パリではそれは無理なんだ。どうも、それを、そういうのはオマエの仕事だろう、とリスネルに無理強いしちゃったらしいんだ。
 ちなみにミラノで、僕は2度もピッコロ座でストレーレルの芝居を初日延期で見逃してるぜ。だいたい週末を利用してスカラと掛けて行くじゃない。初日1週間延期なんて言われたって、そんなに長居はできないやね(笑)。
 イタリアじゃしょっちゅうあるらしくて、ピッコロ座なんて、御大の芝居なら、どうせ初日は延期…なんて予め予定してたんじゃない?…。
 だから Orfeoさんがロンコーニ演出の《ヴェニスの商人》を見ることができたのは奇跡なんだよね。あれも初日延期に加え、芝居が長過ぎちゃって、開演時間まで直前に変更になったんだ。
きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/12 08:57


・・・なんとも、まあ!あのロンコーニの芝居って、オデオン座の窓口で当日売りを買い求めて、行っちゃったんですよね。そんなに難儀していたなんて、全然知らんかったよ・・・(笑)。

ミラノまで行って、一週間延期っていわれたって、そりゃ困りますよね。西のストレーレル、東の井上ひさし、ていった感じ?(爆)

投稿: Orfeo | 2007/06/12 12:28

 まったくもって悪運強き奴だよなあ!(爆)…。同年の《繻子の靴》の方だってそうだぜ。あれ、シャイヨー国立劇場のストで、全編一挙上演が半分くらいキャンセルになったんだよ。僕なんか、あんな長いの、いっぺんで見れるかよぉ!、と二日に分けて見たから助かったけど、あの時、渡邊守章さんなんか、両方共見ることができなくて、泣く泣く帰国したんだぜ。
 そうそう、笑っちゃったのは、この時『テアトロ』の編集後記で、野村喬さんが、パリでは「悪魔の靴」全編が上演された、なんて書いてるのよ。「悪魔の靴」って何だ?…と思ったら、どうも "satin"(繻子=絹)を "satan"(悪魔)と間違えたらしいんだよね(笑)。先生、Orfeoさんの評文は読んでなかったみたいだね。
 …もう一つある。ストレーレル演出版コルネイユ《幻影》。あれは、初年度ストレーレル病欠でキャンセルになっていなかったら、Orfeoさんがご覧になったシーズンの再演はなし。あったとしても、御大は来てなかったかも?…
きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/14 09:25


・・・ワハハ!「繻子の靴」が「悪魔の靴」、ねえ!クローデル大先生がそれを知ったら、キレちゃったかもね(笑)。

投稿: Orfeo | 2007/06/14 12:45

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