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2007/05/12

『イドメネオ』(ミラノ・スカラ座)

Dvdidomeneoscala DVDライブラリーより。

ミラノ・スカラ座、2005-06年シーズンの開幕公演。前のシーズンの途中、ひと騒動が持ち起こり、音楽監督のムーティらが辞任。結局フランスからリスネルが総裁兼芸術監督として招き入れられ、初めて迎えたシーズンの幕開けに、早速彼がひいきにしている若手指揮者、イギリス人のハーディングを起用しての公演となった。演出を担当したのはスイス人、リュック・ボンディ。いつものごとく簡素で、闇が支配する舞台~浜辺の周辺~の中で展開していく。衣裳が現代モード(20世紀半ば?)になっているのが特徴的なぐらいで(黒味がかった単色系でまとめているし、舞台も暗いからそれほど目立たない)、クレタ島の島民は2004年12月、及び2005年3月のスマトラ沖大地震で津波の被害にあった避難民たちにイメージを重ね合わせているようだが、演出的にはさして盛り上がるところがない。事実、大団円の祝祭的バレエがカットされているので、全体が地味になってしまった。そのことは実は音楽面でも大いに言えていて、さすがに急場で準備したプロダクションだけあって、その陣容も小粒としか言いようがない。ハーディングの指揮は若々しい覇気に溢れたものではあるのだが、ダイナミクスに欠け、こじんまりとしたものになっている。だいたい、『イドメネオ』でオーブニングじゃ、やはり盛り上がらないよね(失礼!)。これで懲りたリスネルは、次の2006-07年シーズンの開幕にフランスの大スター、アラーニャを起用して『アイーダ』を敢行。ご承知のように、もろくも砕け散った(爆)。3年目に期待。

★★☆

イドメネオ:スティーヴ・デーヴィスリム
イダマンテ:モニカ・バチェルリ
イリア:カミア・ティリング
エレットラ:エンマ・ベル
アルバーチェ:フランチェスコ・メリ
祭司長:ロビン・レガーテ
ネプチューンの声:エルネスト・パナリエルロ

合  唱:ミラノ・スカラ座合唱団
合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ
管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団
指  揮:ダニエル・ハーディング
美  術:エーリヒ・ヴォンダー
衣  裳:ルディ・サブンギ
照  明:ドミニク・ブリュギエール
振  付:アルコ・レンツ
演  出:リュック・ボンディ

[  収録:2005年12月7日、ミラノ・スカラ座  ]

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コメント

昨年の10月25日に新国の公演を見た後の28日の放送でしたので、興味深く見ました。ほんと、暗い舞台で、雰囲気はイギリスっぽく感じました。
新国の舞台のほうが、美しい舞台でしたね。
歌手も私の知らない人ばかりで地味だし、といってもイドメネオのスティーヴ・デーヴィスリムは、1997年アバド指揮、ライモンディの《ファルスタッフ》でフェントンやってますし、チューリッヒの《ルル》では画家だったかな....で出世したじゃん!なんて感慨深いものがありました。彼は、オーストリア出身で、ホルン奏者からの転向組のようです。

この放送とは関係ないですけど、新国のイドメネオの記事をTBしました。

投稿: keyaki | 2007/05/12 12:20


keyakiさん、コメント&TB、ありがとうございました。
TB返しさせていただきました。

ホント、新国の舞台の方が華やかで、綺麗ですねえ。リスネルも、自分が就任して初めて迎えるシーズンの幕開けぐらい、もうちょっと派手にやればよいものを。緊縮財政の折、こうなっちゃったという、彼一流のポーズなのかもしれません(笑)。

デーヴィスリムの情報もありがとうございます。そういや『ルル』に出てましたねえ。出世したのはいいけれど、イドメネオ役をやるには、まだちょっと貫禄が不足していますよね。

投稿: Orfeo | 2007/05/12 13:16

テレビで放送したのでざっと見ましたが、
研修発表みたいで・・・ 歌手たちも役柄とは無縁な印象しかないです・・・ 

タイトルロールも
>貫禄が不足
どころか、あなただれ?って感じでした^^;;

投稿: edc | 2007/05/12 13:42

まず、訂正です。
>イドメネオのスティーヴ・デーヴィスリム
は、オーストリアではなくてオーストラリア出身です。

>タイトルロールも
>>貫禄が不足
>どころか、あなただれ?って感じでした^^;;

私の記事で、「フェントンのその後」っていうので、その後、知名度アップした歌手をとりあげたんですけど↓
http://blog.so-net.ne.jp/keyaki/2006-09-21
その時に、デーヴィスリムも入れようと略歴を調べたんですよ。スカラ座の開幕公演の主役ってすごいことなんですが、知名度がイマイチだったんで、はずしたんですけど、ほんと失礼ですよね、私って、今からでも付け加えておこうかしら.....
なんか、ジョニー・デップに似てませんか?日本だと織田裕二、なぁんちゃって。(笑

投稿: keyai | 2007/05/12 14:22


>edcさん
うまいことを言いますね。
たしかに、「研修発表会」みたいだ!(笑)

>keyakiさん
ジョニー・デップ?織田裕二?
似ーてーねーえー!!(爆)

投稿: Orfeo | 2007/05/12 17:37

 普通スカラ座級の歌劇場で総監督の交代が行われる場合、最低3年間くらいの猶予をもって新任者が十分準備でき、開幕作がちょっとしたイヴェントになるくらいのものをもってくるのが普通だけれど、任命から開幕まで、確か、1年にも満たなかったリスネルの場合は、いかにも急ごしらえという感じだったですね。彼が任命された時点では、開幕作に出てきて当然だろうブーレーズ、バレンボイム、シャイイ、フォン・ドホナニ…全員予約済みで、他をキャンセルしてまでリスネルに忠誠を尽くすのはハーディングちゃんくらいのもんだったんでしょ。でも、ハーディングちゃんくらいじゃ、歌手が集まってくんないよね。いくらスカラ座の開幕公演だっつったって!…。リスネルがエクス音楽祭に任命された時だって、3年くらいは余裕があって、ピーター・ブルック演出アバド指揮の《ドン・ジョヴァンニ》を組むことができた。
 そうそう、彼がシャトレ座に任命された時がこんな具合だった。前任者ジャン=アルベール・カルチエが突然辞任しちゃったもんで、シャトレ座で金勘定をやってたリスネルが急遽抜擢されて、何も準備してなかったもんで、こけら落としが、なんとペーター・シュナイダーが現代オケを振ったモンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》だぜ!…。まったくもう、フザケんじゃないよ、なんて思ったもんだけど…だから、Orfeoさんがエクスでご覧になったグリューバー演出、ミンコフスキ版はリスネルにとって、あの時の復讐戦だったんだよね。《コジ…》もそうだぜ。シャトレ座の時ジョン=エリオット・ガーディナーが、演出もオレがやる!…なんて言い出したもんで、リスネルとしてはえらい不本意な制作になっちゃった。…だからシャトレ座での演出=ガーディナーに対し、エクスではシェロー!というわけ。
 そうそう《イドメネオ》だってシャトレ座の時の復讐戦のつもりだったのかもよ?…。あの時はガーディナーが、舞台公演に時間を割くのは勿体ないってんで、あっさり演奏会形式でやっちゃった。ひょっとしたら、あの時リスネルは既にリュック・ボンディを予定していたのかも?…。あれの復讐戦をやろうぜ…なんて持ちかけたのかもね?…。
 それから、このキャストを組んだのはエヴァ・ワーグナー=パスキエさんじゃないかな?…。パリ管時代のバレンボイムに歌手関係で入れ知恵してたのが彼女で、その後リスネルに引っ張られシャトレ座に居たと思ったら、どうも喧嘩したらしく、パリ国立歌劇場のキャスティングの顧問に収まって(そうそう、バレンボイムが罷免された時、バレンボイムの側近で解任されなかった唯一のスタッフが彼女だった)、ヨリを戻したのか再びシャトレ座に舞い戻って、リスネルがエクスに転出すると、今度はエクスに来てた。彼女にはバイロイトを親父ヴォルフガンクから引き継ぐなんて噂が出てましたが、あの親子は犬猿の仲で、出会っても挨拶さえしないというんだから、やっぱしリスネルがブレーンの一人としてスカラに引っ張っていったのかも?…。うん、アラーニャのラダメスにも彼女の刻印がうかがえるぜ。シャトレ座の仏語オリジナル版《ドン・カルロス》の主役にアラーニャを抜擢したのも、確か、彼女だったから。皆、アラーニャみたいな純然たるリリコにカルロが歌えるわけないじゃん、なんて言ってたのが、あれが仏語版だったこともあって、結構成功しちゃったんだ。
きのけん

投稿: きのけん | 2007/05/14 07:35


1年に満たないどころか、半年にも満たなかったんじゃないですか、これ?やはり、いくらリスネルといえども、こんな急場じゃ、どうしようもなかったみたいですね。

リスネルがアラーニャに対して取った態度というのも、だから、十分理解できます。「アラーニャにラダメスなんて歌わせるからだ」という批判を、あのアラーニャに対する冷淡な対応でかわすことになった。さもなければ、あんなキャスティングを行ったリスネル自身に攻撃の矛先が向かうことになりますからね。リスネルはスカラ座の聴衆、とりわけ天井桟敷の連中について、まだまだ認識が甘かった、といったところでしょう。今後も目が離せませんね。

エヴァ・ワーグナー=パスキエさんは・・・たびたびその名前をお見受けしますが、ワーグナー家の中では、珍しく外で頑張っていらっしゃる。こういう人こそ、バイロイトに迎え入れて、あそこに新しい息吹を吹き込んでほしいものですが、まあ、あの家の状態じゃ、まず無理でしょうね(笑)。残念です。そうか!それでシェロー演出の《リング》制作の話なんかが出て来るんですね。是非実現してほしいです。

投稿: Orfeo | 2007/05/14 12:03

>エヴァ・ワーグナー=パスキエさんは・・・

 あと、ニケ・ワーグナーというのがいるよ。音楽学者=評論家のドミニク・ジャムーの奥さんだったかな?…。こっちはヴィーラントの方の娘だったっけ?彼女もヴォルフガンクの後任に立候補してましたよ。ニケちゃんは、むしろ音楽学者なんで音楽祭運営なんかに興味あるんかな?…。旦那が背後で手を回していたり(笑)。旦那の方は結構政治力のある人で、驚いたことに、日本R・シュトラウス協会の顧問なんかに名を連ねているんだよね。エヴァ・ワーグナー=パスキエさんは、総責任者として矢面に立つというよりブレーンとして非常に役に立つ人だよね。黒幕になってる方が性に合ってるみたいね。

>天井桟敷の連中について、まだまだ認識が甘かった

というか、リスネルなんか、身銭切ってオペラの切符なんか買ったことないだろうから、天井桟敷に集まる客のことなんかわからんだろう…。

 パリのメジャー総監督でも、天井桟敷族出身はシャンゼリゼ劇場のドミニク・メイエルだけだぜ。あいつだけは我々の仲間だった。モルチエもそう。バスチーユに当日売りの格安席があるのはメイエルとモルチエのお陰なんだ!…。彼らはオペラ・ファンというのは同じ演目に何度も通ってくるものだということをよく知ってる。リスネルは知らない!
きのけん

投稿: きのけん | 2007/05/16 18:58


そうそう、ニケさんがいましたね!でも、ヴィーラント系じゃ、エヴァ・ワーグナー=パスキエさん以上にバイロイト入りは難しいでしょうね。

天井桟敷族をリスネルが知らんというのはいかんな!エクスでは、クレジットカードの対応も無茶苦茶だったし、そういう実際面での不手際も多いですよね、リスネルは・・・。まあ、トップの立場に立ってしまうと、なかなか全部に目を光らせるというわけにもいかないんですかね。スポンサーやら他の劇場との協力関係やらに没頭していそう!

投稿: Orfeo | 2007/05/17 06:54

 う〜ん、そういうところがフランスの公共文化行政のダメなところなの!…。責任者が大抵は高級文化官僚で、こいつらは身銭切ってオペらや芝居を見たことのない連中なんだよね。だから、安い席に何度も通ってくるファンの心理なんてのは全然判らんの!…。いつも頭に来てたことなんだけれど、連中、何かというと切符の値段を下げた…なんて誇らし気に発表して、それに、こいつらも自分で金を払ってるわけじゃない馬鹿な評論家やジャーナリストが迎合するんだけれど、よく調べてみると、値下げしたのは最上席だけで、いちばん安い席は倍にはね上がってたり…。そういうところがお役所仕事なんだよね。
 その点、ロルフ・リバーマンとか、その次にパリ国立歌劇場の総監督になったベルナール・ルフォールなんて人たちは、自分たち自身、ファンとしてオペラ座や芝居なんかに熱心に通った経験のある人たちだから、そういうことがよく判るのね。例えば、ガルニエ・オペラ座の盲席とロージュの底席という超格安席は、リバーマン着任前に中継ぎで暫定総監督をやっていたルフォールが作ったカテゴリーで、それ以前のロージュ席やアヴァン・セーヌ席は、何も見えない席でも普通の価格帯で売られていたわけ。そしてこれらの席を公演日前日の発売にしたのがリバーマン。つまり、オペラ・ゴアたちってのは、なにせ気に入ったら何度でも来るんだから、そんな1年も前、一箇月も前から席を予約せんのだよ。盲席とロージュ底席といったって、所謂常連向けのいい席、立っても後ろの邪魔にならず、立てば全部見える席というのがあるわけ。それこそ、各ホールにそういう常連向けのカテゴリーというのがありまして、リバーマンとかルフォール、上に出たドミニク・メイエル、モルチエといった連中はそういうのをすごく大切にするわけよ。言ってみるなら、最上席というのはいくら高くてもいい。ただし格安席というのは本当に超格安で常連たちをかなり満足させるものじゃなくてはいかん、というわけ。ルフォールさん〜は、例のR・R《ボリス》の時、延々数時間にわたりインタビューに答えてくれたんだけれど〜、あれはバリトン歌手上がりで、ミラノで勉強していた時代、それこそ毎晩のようにスカラ座の天井桟敷に通っていたというんだよね。それで、ああそうか!、ガルニエの盲席とロージュ底席を作ったのはオマエさんだったかい!、それはそれは…なんて話になったんだけれど、そうなんだ、リバーマンやオレは、いちばん安い席に日参していた経験があるんで、お前らのことはよく判ってるんだ…なんて言われちゃった(笑)。
 とかくフランスの公共文化は上からの天下りで何事も決まっちゃうもんで、文化官僚たち(リスネルもその一人)がテメエの恰好だけで物事を運んでしまうキライがある。あれは公共文化の厭な面だよね。
きのけん

投稿: きのけん | 2007/05/18 11:41


・・・そのトップに君臨するのがサルコジだもんね。本当、いやんなっちゃう!首相になったフィヨンなんて、お城に住んでるそうじゃないの。こんなの、絶対庶民感覚からズレて行くに決まってるっつうの!(爆)

投稿: Orfeo | 2007/05/18 14:53

メイエル氏が天井桟敷族出身で、しかもきのけんさんのお仲間だったという話は、以前も驚きと嬉しさをもって読ませて頂いたことがありました。
タダみたいなカネで入れてくれるシャンゼリゼ劇場と、タダで珍しいもの聴かせてくれるラジオ・フランスには一度たりとも足向けて寝たことはありませんわ。

氏は昇り詰め(と言うか突然パラシュートと言うのか)、ホレンダーの後任として2010年からのヴィーン総監督就任が、墺文化相により6日正式発表されたそうです。同時にヴェルザー=メストが音楽監督に就任。

4月くらいから噂は出ていたものの(それ以前にはモルチエも)、シコフ(!)が有力視され、ティーレマン、ウェルザー=メスト、ペレイラの名前が出ていたようだから、地元でもちょっとした驚きだった模様。

オーストリアは現在、社民党首班に国民党が加わった左右大連立だけど、シコフを押してたと言うグーゼンバウアー首相も、メイエル押したシュミート文化相も社民党だから、特に政治臭のある選択結果ではないようですね。

天井桟敷出身に加え、文化官僚、芸術マネージメント(経済学)で大学講師の経験もある上、アルザス出身で外交官の息子、幼時ボン等で過ごしてドイツ語は完璧と言うから、経歴としては、完璧なんでしょうね。

きのけんさんはもう祝辞送られたかも知れませんが、何か言ってました?
彼のシャンゼリゼでのプログラミングには、演目上もアッと驚くようなものはなかったような気がしますが、まあシャンゼリゼは財政上の条件もあるでしょうしね。ローザンヌではどんなことやってましたっけ? 思い出せません。
あと彼のヘンデルへの執心はどこから来てるんでしょう? ヴィーンでも「レパートリー・システムは維持するが、モンテヴェルディ、ヘンデルが近年それぞれ1演目だけは少ない。あと現代ものも重要。」なんて言ってますね。

http://derstandard.at/?url=/?id=2909192
http://oe1.orf.at/inforadio/77064.html?filter=5
http://www.diepresse.com/home/kultur/news/308920/index.do?direct=308760&_vl_backlink=/home/kultur/klassik/308906/index.do&selChannel=134

投稿: 助六 | 2007/06/07 10:56

>助六さん:

>メイエル氏が天井桟敷族出身で

 もしお会いになったら、よろしくお伝えください(彼は僕を「ケン」という名前で知ってます)。彼がドフィーヌの経済学部の学生だった頃からの仲間です。当時、パリ管が会議宮を本拠にしていたんで、開演2時間前だかに売り出される5フランの当日券にいつも一緒に並んで、近くのドフィーヌ分校の学食でメシを食って、パレ・デ・コングレへ戻るというパターンでした。オペラ座では前日午後1時半に売り出されていた「ロージュの底」券あるいは「盲席」に一緒に並び、パリ市内に住んでた彼が朝イチで並び、当時ナンテールに住んでいた僕がその後引き継いで切符を買うというパターンでしたね(笑)。
 その後彼はドフィーヌ分校の経済学部の講師(自動化の経済問題で博士論文を出した)になって、彼はミッテランの蔵相に抜擢されたジャック・ドゥロールの弟子だったもんで、ミッテランが大統領に当選してからは、彼のブレーンの一人として、ミッテランの演説の原稿を書くスタッフの一人になり、しばらくコンサートに来なくなっちゃったんですが、その辺りでミッテランとごく親しいピエール・ベルジェと関係ができて、パリ国立歌劇場に会計監査として大蔵省から出向で入ったんです。ただ、あくまでスポンサー、メッセヌとして、かなり金遣いが荒かったベルジェと遂に衝突(あの二人、以後互いに挨拶さえしなかったですよ)、解任されちゃった。それを救ったのがチョンで、実は、チョンを引っ張ってきたのがメイエルだったんです。だから、クビになったメイエルを即座にローザンヌ歌劇場に紹介したのがチョンで、シャンゼリゼ劇場に戻ってくるまで、ずっとあっちに行ってたんですね。僕も、彼はシャンゼリゼみたいな貸し小屋ではない本物の歌劇場の運営をやった方がいいと思って、彼自身にも直にそう言ったんだけれど、ブロスマンの後任としてリヨンを志願したら、アラン・デュレルに決まっちゃった。デュレルという人は、むしろ管弦楽団の運営に才能を発揮する人なんだけれどね…。

 …そうそう、彼は一頃ウィーンに入り浸ってたよ。彼はアルザス人なんで、独仏語をほぼ同等に喋ります。うん、そこがドイツ語もイタリア語もろくにできないでウィーン芸術週間やスカラ座に収まっちゃうリスネルとの違いですが、スポンサー集めはリスネルが天才的なんだよね。あいつが総監督になると、何故あんなにスポンサーが集まっちゃうのか摩訶不思議(笑)。ただ、音楽に関してはメイエルの方がよく知ってますが、演劇関係はリスネルの方が強いですね。
 実は、来い、来い、とやたら煩かったけど、僕はシャンゼリゼにはほとんど行ってません。つまり、あすこは所謂貸し小屋なんで、自主制作というものがほとんどなかったでしょう。だから、僕が定期的に通っていたのはフランス国立管とフィリップ・ヘレヴェッヘくらいなもんじゃないかな?…。オペラだって、何処か余所で制作したもののパリ公演先に使われることがほとんどだったんで、僕はパリで制作されるものを優先するからと断っといて、彼もそれを認めるという関係でした。そうしないと、『レコ芸』の海外楽信の3っつか4っつが全部小澤=ボストンの欧州ツアーについてのものなんてことになっちゃうんで(笑)…。ローザンヌもあまりパッとせんので2度くらい行っただけかな?…。それも、うち1度は山の中にある木造の劇場ジョラ座を使った公演でした。
 …でも彼氏、バロック関係は比較的新しいんです。その点もリスネルと同じ。「天井桟敷族」時代には何も知らなかったよ。ヘンデルやバロックを重視したのはシャンゼリゼ劇場の規模のせいだったでしょう。ワーグナーなんかは、あすこではオケを縮小しなきゃならんので、自分は絶対にやらない…とはっきり言ってました。
 そうそう、ワーグナー大好き男で、僕の博士論文(…といったってDEAですが…)まで1部コピーして持っていったぜ。あくまで彼の「お里」はロマン派ですよ。
 それから、彼はオペラ一辺倒じゃなくって、彼と何度か一緒に通ったのがトゥールでスヴャトスラフ・リヒテルが主宰していたメレ穀物庫音楽祭。昼頃お弁当持ってパリから出掛けて、コンサート後はメレからトゥールの町まで歩いて、早朝スペイン方面から来る夜行列車(だからTGV以前の話だよね)でパリに帰ってくるというパターンで、パリでは病気と称してキャンセルするクラウディオ・アラウとか御大リヒテルとか…に行った。でも、彼は、オペラよりも管弦楽とか室内楽の方が好きだったけどねえ…。
 …それにしても、またなんで、こんなにフランス人が欧州各地に進出するようになっちゃったんだろうね。ライプツィヒのアンリ・メイエル(こっちは "Meier"で、あっちは "Meyer"〜これもアルザス人で独仏語両刀使い〜モンペリエ歌劇場の頃ドレスデンとさかんに共同制作をやってました)、ヴェネツィアのセルジョ・セガリーニ、スカラのリスネル、ジュネーヴのジャン=マリ・ブランシャール(シャトレ座時代のリスネルの右腕)…。もう一人、昔仏EMIのプレス担当をやってて、トゥールーズのキャピトル座管の事務長に抜擢された後、プラッソンがドレスデン・フィルに任命された時、あっちの運営もやっていたユーグ・ムッソーというのもいまして、ドレスデンのシュターツカペレを志願したら、これはダメ。
 …まあ、フランス人といったって、連中はむしろ「ヨーロッパ人」と言った方がいいよね。ちなみに、セガリーニを僕は最初ワーグナーの専門家として知ってまして(ワーグナーを演劇面からやっていたのはフランスでは彼くらいだった)、あの人もドイツ語が結構できそう…。
きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/07 14:07

(補)
助六さん:
>芸術マネージメント(経済学)

 …を専攻したなんて話は一度たりとも聞いたことがないですねえ…。多分、オーストリアのジャーナリストが、そうに違いないと勝手に想像して書いたんでしょう(笑)。それとも大蔵省でミッテランの演説の原稿書きをやっていた時期とバスチーユの総監督になった時期との間に芸術マネージメントを勉強したのかも知れないですが、学生の頃は、工場のオートメ化やロボットの導入の経済的問題で博士論文を書いてるところだ、なんて説明してくれたですね。
 …そういや、助六さんのリンクに行ってみたら、今ドイツ語では「アルザス」を"Älsass"ではなく "Elsass"なんて書くんですねえ。ドイツでは昔から、ウムラウトなど特殊記号を全廃しようという運動があったことはあったけど…。フランスでは、かつてジスカール・デスタン大統領が、自分は過去分詞の一致をやらない、と宣言して実践しはじめただけで、喧々諤々の大論争が始まったことがあったけど…。
きのけん

投稿: きのけん | 2007/06/07 18:04

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