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2007/05/13

『カルメン』

Dvdcarmen ▼セシル・B・デミル《カルメン》(アメリカ、1915)
Cecil B. DeMille, CARMEN

製作・総監督・脚本:セシル・B・デミル
原作:プロスペル・メリメ
脚本:ウィリアム・デミル
美術:ウィルフレッド・バックランド
音楽:ジョルジュ・ビゼー
編曲:ヒューゴ・リーゼンフェルド

カルメン:ジェラルディン・ファーラー
ドン・ホセ:ウォーレス・リード
エスカミーリョ:ペドロ・デ・コルドーバ 
パスティア:ホーレス・B.カーペンター

DVDにて鑑賞。後に《十戒》(1956年)を生み出すハリウッドの巨匠、セシル・B・デミル監督がそのデビュー直後の1915年に撮ったサイレント映画の復元版だ。当然白黒で、イーストマン写真映画博物館に保存されていたデミル監督本人の所有のプリントを使っているが、監督自身の指示書に従って画面全体に着色を施している(赤みがかった画面、とか、青みがかった画面、とか、その程度の単純な処理だが、これがなかなかどうして雰囲気がある)。1915年の公開当時、上映にあたって楽団が演奏していた随伴音楽も楽譜が見つかって復元され、その演奏が付いているが、歌曲も数箇所挿入されている。カルメン役のジェラルディン・ファーラーはこの当時のオペラ界の大スターであるが、映画本編とは別に、このファーラー自身が歌う「ハバネラ」、「セギディリャ」、「フィナーレ」が(映画からの)映像付きで収められている。

その本編はというと、これが強烈なストーリーになっている。出だしは海のシーンで、海を見下ろす高台から男が合図を出し、密輸団の一味たちが波に悪戦苦闘しながら小船で上陸する映像から始まる。その後、海岸に上り、野営地までやってきた一行は、「新しく来た若い伍長は金で動かないシブトイやつだ」なんて話をするが、そこに、「あら、そんなのわけないわ。わたしが女の武器を使えばイチコロよ」なんていうジプシー女が。これがカルメン(笑)。妖艶で官能的なカルメン・ショーがこうして始まるというわけ。

あとは省略するが、音楽も自由に継ぎはぎしているので、その展開もあっち行ったり、こっち行ったり、と、かなり目まぐるしい。ちなみに、ミカエラなんか出てこない。何はともあれ、最初からカルメンが下心丸出しでドン・ホセに迫っていくので、ちょっとお下劣なのは致し方ないところ。大仰な演技はいかにもサイレント映画らしいところだが、同時に、オペラ的、とも言える(笑)。流し目がいやらしいファーラーではあるが、映像とはいえ、その姿を拝むことができて、本当に光栄です(爆)。

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コメント

=CineKen2-FORUM No. 1482:
 おやおや、これは珍しいものが出ましたねえ…。なにせ、1915年当時、ハリウッドなんて、ただの海浜の寒村。映画の世界的メガロポールはベルリンだったんだから、CineKen2側ではかの大エルンスト・ルービチ版《カルメン》(独、1918)で対抗したいところなんですが、こっちはネガが残っているのかどうかも不明。ベルリンも欧州各国から大スターが集まって来てまして、こっちのカルメンはポーランドの大女優ポーラ・ネグリ(バルバラ・シャルピエツ)さん。うん、記録によると、こっちもミカエラはシカとされてるみたいね。なにせ、ルービチといえば、女性を魅力的に撮ることに関し世界一という専らの評判の人だったから、早速ハリウッドから買われちゃって、1920年代半ばにハリウッドに移住、死ぬまであっちに居た。
 実は、《カルメン》が如何に洒落たオペラだったか如実に知ったのはトーマス・ビーチャム指揮フランス国立管のディスク(ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス、ニコライ・ゲッダ、エルネスト・ブラン…)を聴いた時だったんですが、当時のドイツというのは欧州でも最も洒落た文化を持っていた国なんだよね、ホントは…。ルービチがどんな洒落た《カルメン》を撮ったことやら!。
CineKen2

投稿: CineKen2 | 2007/05/13 18:49


ルービチの《カルメン》ねえ。それもまた見てみたいものですね。

サイレントの上に大胆な脚色。新鮮なカルメンでした。

投稿: Orfeo | 2007/05/13 21:35

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