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2007/04/30

『夏物語』

Dvdconte_dete ▼エリック・ロメール《夏物語》
(フランス、1996)
Eric ROHMER, CONTE D'ETE

例によってストーリーその他の解説はCineKen2-エリック・ロメール特集におまかせします。こちらです。

ブルターニュの海に面した街でひと夏を過ごす若者たちの出会いと別れ・・・といったら、普通その間に激しく、かつ悲しい恋の物語が展開されると思うでしょうが、「アクション」を起こさないことで有名(?)なロメールがそんな陳腐な映画を撮るはずがありません。ここでも、院生同士のインテリの男女が、くっつきそうでくっつかないまま、ただしゃべり通します(饒舌の度合いはやや抑え気味ではありますが)。そこに他の女性二人が絡んできて・・・でも、結局なにも起こらない(笑)。そう、ディスクールがドラマ、ディスクールこそがアクション!(爆)これだけ分かっちゃえば、ロメールについてはもう十分なのかもしれません。ブルターニュの民俗風習を研究しているヒロイン、マルゴを演じているアマンダ・ラングレが実にいいです。他の二人の重要な女性たちよりも、とにかく彼女に惹かれました。僕はあなたに付いていきます(爆)。それにしても、そんなアマンダに見送られて連絡船で去っていく主人公ガスパール役のメルヴィル・プーポー君、おいしい役どころだなあ、オイ!

この映画は、とにかく、ノスタルジックな郷愁が全体を支配しているので、自分の青春時代を回想させる映画でもあります。私も、学生時代の夏休み、初めてロンドンに行ったとき、宿泊先として使ったのがヴィクトリア・ステーションそばの元は病院だったという建物で営業していたホステル。そこの大部屋で知り合ったスイス人の妙齢の女性と私はとても仲良くなり(男女同部屋だった!)、ある日の午後、デートの約束まで交わしたんだけど、結局彼女の都合でそれが実現しなかったので、夜宿舎で延々と謝られた。綺麗な上に真面目で素直ないい子だったなあ・・・。どうしているかなあ、彼女、今頃・・・(遠い日を見つめる目w)。うん、これも青春だ!そしてこれもまた、なにも起こらなかった!ロメールしてるな、オレ(爆)。

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コメント

 相変わらずエリック・ロメールは人気ないですねえ(笑)。でも、それでいいんです。映画ファンが大挙してこの人なんかを見るようになっちゃ、この世の中の監督たちが迷惑する。つまり、世界各国でラヴ・ストーリーや所謂「青春映画」というヤツを撮る監督たちが結構知らん顔して色々拝借してるわけだから、彼らのネタがバレちゃうからねえ…。もちろん本国でこの手の映画を撮る人たちはほぼ例外なくロメールを見てて、結構平気で盗んだりしてるんだよね。15年くらい前、フランスで《エレーヌの男の子たち》という、中学生くらいの子供たちの男女を主人公とした学園物連続テレビ・ドラマが爆発的にヒットしたことがあったんですが、「エレーヌの男の子たち」なんていうから、てっきりジャン・ルノワールがイングリッド・バーグマンを主役に仕立てた《エレナと男たち》(邦題は《恋多き女》1956)だろうと思ってたら…これが、ロメールをさかんに拝借してるんですわ。あれあれ!…なんてね(笑)。それに韓国の人たちが、結構ロメールを見てて、ちゃっかり真似しちゃってたりするんだ。いちばん本格的にロメールからのインパクトを感じるのは洪尚秀 (HONG Sang-soo)じゃないかと思うんですが、例えば、日本でヒットした許秦豪 (HUR Jin-ho)の 《四月の雪》(韓、2005) なんかもロメール映画の枠組みをモロに使ってますね、随分野暮ったいけど…。それから、これはその種の映画ではないんですが、日本で最近《ぼくを葬る(おくる)》 (2005)という邦題で封切られたフィルム(原題は「残された時間」)(1)なんですが、これがまさにこの《夏物語》を下敷きにしてるんだ。主人公を演ってるメルヴィル・プーポーは、ロメールからこの《夏物語》の主役に抜擢されて有名になった人なんですが、売れっ子のCM写真家で相当ハードなホモの主人公が癌を告知され、残された日々をどう生きたか?…という主題の映画で、その残された時間に、彼が、男の方がインポの若い夫婦と一緒に三人で寝て、ヴァレリア・ブリュニ=テデスキ奥さんに子供を作ってあげる…なんて話なんですが、このプーポーさんが最後に《夏物語》の舞台に使われている…ということは、彼を有名にした映画の舞台に使われているブルターニュはディナールの浜辺に戻って、燦々と照りつける太陽の下で最期を遂げる…という映画なんだよね。

(1) : http://members2.jcom.home.ne.jp/kinoken2/cineken2/cineken2_cont/cineken2_archive/forum0601.html#601

 それから、この《夏物語》にはその前話というわけでもないんですが、どうもあれを下敷きに使っているな…という作品がある。それが、まさにその Orfeoさんお気に入りのアマンダ・ラングレのデビュー作として彼女が主役をやってる《海辺のポリーヌ》(1982)。この時ロメールに発掘された彼女が、確か14歳、映画撮影時で15歳。あれから14年、僕なんか、わ〜あのアマンダちゃんが、こんなにデブッちゃったぜい!なんてビックリ仰天したんだよねえ(笑)。だって、彼女のお姉さん役だったアリエル・ドンバル、これもロメールが彼女の学生時代に発掘した人なんだけど…、なんて、今でもちっとも変わってないぜ!…。ちなみに僕の『エリック・ロメールを見る』の表紙ページ(2)の真ん中、タイトルの真下にあるスチールの中で若い坊やとダンスしてる後ろ向きの超ビキニ姿の女の子が、まさにその14年前のアマンダ・ラングレさんです。それからまた8年。現時点でのロメールの最も新しい長編作品《三重スパイ》(2004)にまたまた、40代初めになったアマンダちゃんが出てくるんだよねえ。へーえ、あの女の子がこんなおばちゃんになっちゃたんだ!…なんてねえ(笑)。今度は第二次世界大戦中のパリで、共産党員の夫を持つおばさん役。同じ建物に、ロシアから亡命してきた反革命の白ロシアの夫妻が住んでいるばけど、その奥さんが画家でアマンダちゃんの子供の絵を描いたりするんで、イデオロギーを超えてこの二つの夫婦がやたら仲がいいんだよね…なんて役をやってる。まあ、こっちの映画の主人公は、そのロシア人夫婦で、亡命し白ロシアの貴族だと思われていた夫が本当はナチスのスパイで、さらにまた本当はロシア革命政府の二重スパイだった…なんて話なんですが…。

(2): http://members2.jcom.home.ne.jp/kinoken2/cineken2/cineken2_cont/cineken2_rohmer/cineken2_rohmer.html

 そうそう、最近見た日本映画で、これはロメールを見てるな…というのと、これは見てないな…というのがありました。おっ!見てるな…は周防正行の《Shall We ダンス?》(1996)。これは、もう、かなり典型的なロメール映画の物語。これと対蹠的に、こいつ、ロメールを見てたらなあ…なんて思っちゃったのが、その翌年に撮られた森田芳光の《失楽園》(1997)。まあ、こっちは役所広司さんと黒木瞳さんのベッド・シーンを延々と見せるのが目的の映画なんだろうから、ロメールみたいにコトが起こらなかったら本当はマズいんだけれど(笑)…。
CineKen2

投稿: CineKen2 | 2007/05/07 21:22


CineKen2さん、どうも。

《Shall We ダンス?》はともかく、《失楽園》はねえ。あれは、純文学を騙ったポルノ小説、ポルノ映画でしょ?(爆)まったくもって、興味がありません!(キッパリ)

投稿: Orfeo | 2007/05/08 06:59

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