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2007/01/20

『戦場のアリア』

Dvdsenzyounoaria ▼クリスチャン・カリオン《戦場のアリア》
(仏・独・英、2005)
Christian CARION, JOYEUX NOËL

これも第1次世界大戦のお話。1914年12月、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍は、フランス北部のデルソーで、ノー・マンズ・ランドを間に挟んだ激しい戦闘を繰り広げていた。しかし、兵士たちが皆家族のことに思いを馳せるクリスマスの夜に、奇跡が起きる。何万本のクリスマス・ツリーと、テノール歌手ニコラウスの美声に酔うドイツ兵。彼が歌う「きよしこの夜」に応えるかのように、やがてスコットランド兵がバグ・パイプでその伴奏を始める。敵味方を越えた聖なる夜がそこに訪れた・・・。

あまりにベタな展開の映画ですが、これで実話というところが凄いですよね。というか、実話だという後ろ盾があるからこそ成立している映画、とも言えます。まあ、前回取り上げたマタ・ハリだって実在の人物だったわけですが、映画の作りがかなりいびつだったせいで、ちっともリアリティが感じられなかった。この《JOYEUX NOËL》(注:仏語=メリー・クリスマス)にしたって、ストーリー展開がかなり性急で、いろんなところをバッサリ端折って話が進んでいくので、ちょっと面喰いますが~そういう意味ではこれもまた、いびつ、ですかね~、製作者側の思いはよく伝わってきます。敵味方を越えた温かい交流が生まれる戦場でのクリスマス・イヴの奇跡は、話的には大きなクライマックスですが、この約2時間の長さの映画の前半部分でしかかない。そこからが実は長い。心を通わせ合った両軍の兵士たちの間で奇妙な友情の念が生まれ、戦争の大義に悩み出し、ためらい、上層部の怒りを買って師団を解散させられたり、他の戦地へ飛ばされることになる様子が後半描かれることになります。戦争って、いったいなに?・・・というわけ。そう、いびつなのは戦争そのものだということを彼らは言いたいわけですね。まあ、ストレートなメッセージですが、無意味な戦闘が絶えることのない今日、こういうことを声高に訴えたい気持ちもよく分かります。どこかの超大国の指導者に是非見て欲しいですね、この映画。

尚、アリア部分の声の出演がナタリー・ドゥセイ(ソプラノ歌手、アナ役)とロランド・ビリャソン(その夫のテノール歌手、ニコラウス役)の二人。ということで、オペラ好きにとっては見逃せない、というか、聴き逃せない映画になっています。すっごいリアリティ!(笑)ちなみに、話の上でも非常に重要なこのニコラウス(=ベンノ・フユルマン)とアナ(=ダイアン・クルーガー)の二人は~元々、前線で従軍している夫のニコラウスに一晩だけでも会うために、アナが志願して司令部でのクリスマス・コンサートに出掛けていき、そこで久しぶりに会うことができた夫とともにコンサートを行った直後、前線に戻ったニコラウスとそれに付き従ったアナが加わって、奇跡のアリアが生まれます~、日が変わると二人であっさりフランス軍に投降し、逃げてしまいます。ついでに、それ以降はまったく画面には登場してきません。映画からも逃げた?(笑)他にも、話の始めでスコットランドのとある教会で、若い兄弟が戦争に参加するため軍隊に志願して駆け出していくシーンが出て来ますが、直後の戦地でのシーンでその兄があっさり死んでしまう、などなど、本当に、いくらなんでも端折りすぎだろ!という場面が続出します。もう一時間ぐらい尺を伸ばすべきだったかな、この映画・・・。

最後にもう一つ、どうもでもいい話ですが、日本の映画配給会社は「戦場の~」っていうネーミングがよくよく好きですよねえ。どうにかならんかな、この安易な風習。この映画の場合、フランス軍、スコットランド軍、ドイツ軍の代表がノー・マンズ・ランドで一夜の休戦協定を結び、それぞれ自分の国の言葉で「メリー・クリスマス!」と声を掛け合いながらシャンパンで乾杯するところがミソなのに・・・。だからこその原題だろうに、それが台無し(爆)。

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コメント

こんにちは。
Orfeoさんの記事からほぼ一年後ですが、見ました。
>どこかの超大国の指導者に是非見て欲しいですね、この映画。
ですね・・

まあ、もやもや感も残る映画ですけど、こういう視点からの戦争映画もいいんじゃないでしょうか。戦争は人類にとって、多分永遠の未解決課題ですもの・・ 

TBしますのでよろしくお願いします。

投稿: edc | 2008/01/14 20:19


edcさん、TBありがとうございます。

>もやもや感も残る映画
うん、この映画の場合、編集が上手くいっていないような気がしました。もう少し丁寧に作りこんでいたら、スッキリできたんじゃないですかね。

投稿: Orfeo | 2008/01/15 09:43

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戦争と音楽がとりあえずのテーマの映画、「戦場のピアニスト」というのもテレビで見ましたが、なんだかもやもや感があるような感じでしたし、「戦場の・・」はもういいというところで、この「戦場のアリア」は題名は知ってましたが、見たいとは思いませんでした。けれども、この間見たテレビ用映画「ニーベルングの指環」でちょっと変わった魅力を発散していたジークフリート役の俳優ベンノ・フュルマンが出演しているというし、歌は私も映像ではけっこうおなじみの目下「旬」の有名オペラ歌手、ナタリー・デセイとローランド・ビリャゾンだ... [続きを読む]

受信: 2008/01/14 20:18

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