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2006/06/15

『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(ハンブルク州立歌劇場)

Dvdmeistersingerhamburg DVDライブラリーより。

ワーグナー作。

ロルフ・リバーマン総監督時代のハンブルク州立歌劇場のプロダクションを基にしたオペラ映画だ。歌劇場での舞台収録のように見受けられるが(ただし本公演ではない)、やたらカメラを動かすところがちょっと特異だろう。指揮のレオポルト・ルートヴィヒは地方の歌劇場を出発点に、その後ウィーンやベルリンでも活躍した叩き上げの指揮者だが、1951年から71年までこのハンブルク州立歌劇場の音楽総監督を務めていて、ここでも堅固で風格のある音楽を鳴り響かせている。リントベルクの演出は具象的ではあるが、華美に陥るところはない。その焦点はあくまでも人間そのものなのだ。数多い登場人物たちがひとりひとり血の通った人間として、ときに朗らかに、またときにシニカルに、生き生きと描き出されていて面白い。歌手の面々は一部を除いて、まったく知らない人たちだらけですが(・・・まことにもってゴメンナサイ)、さすがにリバーマンの息がかかった実力者ばかりとお見受けしました。それにしても、皆さん、立派な髭をお持ちですなあ・・・(笑)。

★★★★

ザックス:ジョルジョ・トッツィ
ポーグナー:エルンスト・ヴィーマン
フォーゲルゲザング:ヴィリー・ハルトマン
ナハティガル:ウィリアム・ワークマン
ベックメッサー:トニ・ブランケンハイム
コートナー:ハンス=オットー・クローゼ
ツォルン:クルト・マルシュナー
アイスリンガー:ヴィルフリート・プラーテ
モーザー:イェルゲン・フェースター
オルテル:フランツ・グルントヘーバー
シュヴァルツ:カール・シュルツ
フォルツ:カール・オットー
ヴァルター:リチャード・キャシリー
ダーヴィット:ゲアハルト・ウンガー
エヴァ:アーリン・ソンダース
マグダレーネ:ウルズラ・ベーゼ
夜番:ウラディミール・ルツダック

合  唱:ハンブルク州立歌劇場合唱団
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
指  揮:レオポルト・ルートヴィヒ
美  術:ヘルベルト・キルヒーホフ
衣  裳:ルドルフ・ハインリッヒ
メ イ ク:カール=ハインツ・ウォルフ
撮  影:W.P.ハッセンシュタイン
演  出:レオポルト・リントベルク
監  督:ヨアヒム・ヘス
製  作:ルドルフ・ザンダー

[  制作:1971年、ポリフォン映画放送社・北ドイツ放送  ]

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コメント

 W杯でオペラ・レヴューの方はしばらくお休みかと思ってたら、おやおや珍しいものが出ましたねえ!…。
 1970年代リバーマン総監督下のパリ国立歌劇場で活躍した懐かしい人たちが大挙して出てるんで、うーん、これは懐かしいなあ…。
 まづナハティガルのウィリアム・ワークマン。個人的な知り合いで、一頃パリで大人気でした。まづカール・ベーム指揮《魔笛》にパパゲーノで登場、マルティ・タルヴェラorクルト・モル、キリ・テ・カナワ orエディット・マティス、エッダ・モーザー、テオ・アダム、ホルスト・ラウベンタール…なんかを向こうに回してキャスト中最も人気が高かったのがこの人。ちなみに、この時モナスタトスをやったのがフランツ・グルントヘーバー(1オクターヴ下してバリトン版)。ここではヘルマン・オルテルをやってますね。別に贔屓の引き倒しで言うんじゃなくて、その直後の《ラ・チェネレントラ》でまたまた大人気。トム・クラウゼとのダブル・キャストのダンディーニ。相手役がテレサ・ベルガンサとフレデリカ・フォン・シュターデのダブル・キャストを向こうに回しての大活躍。その後フランクフルトへ行ったら、オペラ座付き劇団員になってて、ルート・ベルクハウス演出、ミヒャエル・ギーレン指揮《魔笛》でまたまた大活躍してまして、なっ!、パリのヤツよりこっちの方がいいだろ!…なんて言ってました。そういや、彼は同時期フランクフルトの劇団員だったバリトンの吉江忠男さんと仲がよかったなあ…。同時期ハンブルクへ行ったら、またまたいやがって(笑)、あっちではゲッツ・フリードリヒ演出クリストフ・フォン・ドホナーニの《コジ…》でグリエルモをやってました。
 トーニ・ブランケンハイム。別項のブルーノ・マデルナ指揮版《ヴォツェック》の主役ですが、リバーマン時代のパリではブーレーズ=シェロー版《ルル》全曲版世界初演のシゴルヒ。
 シュヴァルツのカール・シュルツはストレーレル演出版《フィガロの結婚》で毎回アントニオ。
 リチャード・キャシリーは万年代役専門でしたが、ワーグナーの主役テノールには全部一度は出たんじゃないかな?(普通ペーター・ホフマンの代役で)ジークムント、パルジファル、タンホイザー(…はコロの代役だったっけ?)。一度ジークムントで突然ペーター・ホフマンの代役で飛んで来た時は途中で歌詞を忘れて止まっちゃったなんてことがあったけど(クラウス=ミヒャエル・グリュバー演出版《ワルキューレ》では、確かプロンプター・ボックスを外してた…)。
 ゲァハルト・ウンガーもしょっちゅう来てたなあ…。
 ウルズラ・ベーゼもシェロー=ブーレーズ版《ルル》に出てた。
 そして、ここでエヴァで出ているアーリン・ソンダース。知られざる名歌手で、ハンブルクでは「カンマーゼンガリン」の称号を貰ってましたが、1970年代のパリ国立歌劇場で稀代の名演を少なくとも2度やってます。一度はプラシド・ドミンゴとの《トスカ》で、この二人が興奮しまくって、すごいことになった。2度目は《バラの騎士》の元帥夫人。当時パリの元帥夫人はクリスタ・ルートヴィヒの持ち役で、彼女が出れない時は、メゾに転向する前の〜カラヤンの《トリスタン》時代の〜ヘルガ・デルネッシュで、全然言うことなかったんだけど、アーリン・ソンダースが登場するなり、この二人がいっぺんで霞んじゃった。
 その晩、僕はソフィーちゃんという当時の立ち見席の常連の中でいっとう可愛かった女の子と連れ立って、アヴァンセーヌのロージュの立ち見席で見てたんですが、第一幕末の元帥夫人の独白の箇所で、劇場中がシーンと静まり返っちゃった中で、そのソフィーちゃんが僕の隣でオイオイ泣き出しちゃったんだよね。すごい困ったけど、これは本当の話じゃないんだから!なんて馬鹿みたいな慰めかたをしてね…。もう、でっかい声で泣き出しちゃうんで、弱ったのなんのって!(笑)。…とまあ、そのくらいすごかったんですわ。
 どういうわけだか、こういうレコード界からまるで無視された名歌手ってのが当時結構いまして、このソンダースと似たような体験を持ったのが英国のジョゼフィーヌ・ヴィージーなんだよね。レコードはコーリン・デイヴィスのベルリオーズなんかにちょこっと出ているくらいなんだけど(あと、クレンペラーのモーツァルトくらいかな)、この人のクンドリーが見事だったこと!…。ホルスト・シュタイン指揮、ジョン・ヴィッカーズ(パルジファル)、テオ・アダム(アムフォルタス)、クルト・モル(グルネマンツ)、フランツ・マツーラ(クリンクゾール)、ジュール・バスタン(ティトゥレル)なんかに混じって、この人のクンドリーがいちばん良かった…なんて。この時代は、あっと驚くような人がいたんです。
 うん、リバーマンからドホナーニ時代に掛けてのハンブルクってのは、随分実力派を揃えていたんだよね。僕がよく行った頃は連中に混じって河原洋子が大活躍してたけど…。そうそうサミュエル・レイミーもあの中にいたなあ!…。もっと昔にはジェシー・ノーマンやタチアナ・トロヤノスだってリバーマン時代のハンブルクにいたぜ。
きのけん

投稿: きのけん | 2006/06/15 17:09


きのけんさん、いつもながら充実の解説を付けていただき、大恐縮です。非常に助かります^_^;;

>W杯でオペラ・レヴューの方はしばらくお休みかと思ってたら

・・・いや、マジでお休み体勢にあるんですが、これだけはニュルンベルクでの日本の試合(対クロアチア戦)の前にぶつけてやろうと思って、ず~っと前から準備して、ストックしてあったんです。手回しいいでしょ?(笑)でも、これに続く企画(?)がなかなか思い浮かばなくてね。というか、選手たちは試合間隔が空くからまだいいだろうけど(勝手な言い草)、こっちは連日観戦なので、すでにもうクタクタです。週1日ぐらい、安息日がほしい・・・。

話はオペラに戻りますが、さすがにリバーマンつながりということもあって、歌手のみなさん、パリでも相当活躍されているみたいですね。挙げていただいたパリ・オペラ座のプロダクションの中では、《フィガロ》と《ルル》のDVDが出ていますね。《フィガロ》は現在Amazonのマーケットプレイスに予約注文中ですが、なかなか出てこない。《ルル》はタワーあたりで探しています。

それにしても、レイミー、ノーマン、トロヤノスまでいたとなると、ハンブルクってのも相当凄いところだったんですねえ!

投稿: Orfeo | 2006/06/15 20:05

きのけんさんの思い出話は楽しいです。
存じ上げない歌手さんばかりですが、

>英国のジョゼフィーヌ・ヴィージー

だけは知ってます。オペラは歌わない方かと思ってましたが。
1970年バーンスタイン指揮のヴェルディのレクイエムで歌ってます。CD、VHS、LD、DVDも出てます。
ちなみに、アロヨ、ヴィージー、ドミンゴ(コレッリ、キャンセルのため)、でライモンディです。

ハンブルグといえば、どういう意味で言っているのかよくわかりませんが、オペラ映画「ドン・ジョヴァンニ」の宣伝で行ったんだと思いますが、ゴーモンの会長が、「リーバーマンが長い間オペラの監督をやっていたハンブルグに行ったが、めちゃくちゃだと思った、、、」なんて言ってますが、ただのフランス人のドイツ嫌い??かしら??

まだ、仕事がなかった頃のドミンゴを拾ったのもリーバーマンですよね。

投稿: keyaki | 2006/06/16 15:53

サッカー記事に紛れて見逃してました。いつもながら、興味津々で読ませていただきました。

投稿: edc | 2006/06/16 21:12


edcさん、どうもありがとうございます!

投稿: Orfeo | 2006/06/17 08:33

>keyakiさん:ドミンゴ=リバーマン

 ああ、そうなんですか!…それであんなにしょっちゅう来てたのか!…。一度なんか3箇月くらいぶっ続けで居続けたことがありましたよ。パターネ指揮、フレーニ、トム・クラウゼの《ラ・ボエーム》と、その次は何だっけ?…、忘れちゃったけど《トロヴァトーレ》か《運命の力》、《シチリアの晩鐘》?…。オテロもパリで初めて歌ったという触れ込みだったけど(指揮ショルティ)、実はその前にどっかで予行演習をやってた。パヴァちゃんなんかは、同じ《ラ・ボエーム》で椅子を押しつぶしちゃってからというもの怖れをなして来なかったし、カレーラスなんて一度《仮面舞踏会》で出ただけでお払い箱…。アルフレド・クラウスだけはどうしても来てくれなかったんだって。
 うん、あのジョゼフィーヌ・ヴィージーのクンドリには舌を巻いちゃったですが、確か彼女、例の伝説的なオランジュ古代劇場でのベリーニ《ノルマ》(パターネ指揮:カバリエ、ジョン・ヴィッカーズ)でアダルジーザをやってなかったっけ?…。
 ついでにリクエスト。上の《ノルマ》と、同じくオランジュ古代劇場のカール・ベーム指揮《トリスタン》(フランス国立管:ニルソン、ヴィッカーズ、ヴァルター・ベリー、ルート・ヘッセ…、バスは誰だったっけ?…ベンクト・ルントグレン…違った?)。1970年代オランジュの最も伝説的な舞台の記録です。
きのけん

投稿: きのけん | 2006/06/17 18:25


おやっ?またリクエスト貰っちゃった?

オランジュでのベームの《トリスタン》ですね。了解しました。実は前から欲しかったんですよ、これ。Amazonでは現在在庫切れみたいですが、たしかタワーで以前見掛けたような気がするので、今度行ったときに探してみます。しばしお待ちを。

投稿: Orfeo | 2006/06/17 19:49

ドミンゴは、ハンブルグでラダメス、ローエングリン、マントヴァ公爵、ドン・アルヴァーロ、オテロのロールデビューを果たしています。

>ジョゼフィーヌ・ヴィージー
ほんとだ,ノルマに出てますね、でも印象に残ってない、強風とカバリエしか覚えてないです。

ベームの《トリスタン》はedcさんからコメントあるかな、、、暗くてぜんぜん見えなかった、、、とかなんとか

投稿: keyaki | 2006/06/17 20:49


keyakiさん、どうもです。

オランジュの映像ではミストラルの関係でどうしても風の音が障害になるようですね。その上、暗い、ですか・・・。そりゃ困ったな^_^;;

投稿: Orfeo | 2006/06/17 21:28

>ベームの《トリスタン》はedcさんからコメントあるかな、、、暗くてぜんぜん見えなかった、、、とかなんとか

LDでしたが、ドリームライフですからね。強風と暗闇しか記憶にありません..... 2幕の好きな部分がカットだったし。

>バスは誰だったっけ?…ベンクト・ルントグレン…違った?
その通りです。

投稿: edc | 2006/06/18 19:55


edcさん、どうもです。
でも、なんだか買う気が薄れてくるなあ・・・(笑)。

投稿: Orfeo | 2006/06/18 20:37

遅まきながら、記事にしました。最近TBがうまくいかないようですので、リンクします。

投稿: edc | 2007/03/09 09:39


edcさん、毎度ご迷惑をお掛けしています。

ココログのシステムが実は進化していまして、そちらでTBを送った際に反映されなくても、後でこちらの管理画面でそのTBを反映させることが出来るようになりました。というわけで、ここのedcさんのTBも反映させました。やればできる子なんです・・・(笑)。

今後とも、どうぞよろしく!

あ、あと、メールを送って下さい(爆)。

投稿: Orfeo | 2007/03/09 10:22

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OGASHIさんのブログで取り上げられていたので、ちょっと見てしまい込んでいたのを思い出しました。Orfeoさんのところにも興味深い記事+コメントがあります。 かのマイナー映像を出してくれるのはありがたいけど、画質と字幕がねぇ・・のドリームライフから、ロルフ・リーバーマン・シリーズとして、この高名な劇場監督のハンブルク歌劇場時代の映像のひとつです。 テレビ用に撮られた映像なのと、1970年代の古さ故、当時沢山撮られたらしいテレビ用オペレッタ映像と共通する一種独特の雰囲気です。色彩は派手とい... [続きを読む]

受信: 2007/03/09 07:50

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