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2006/04/19

『ペレアスとメリザンド』(ウェールズ・ナショナル・オペラ)

Dvdpelleasetmelisande DVDライブラリーより。

ドビュッシー作。原作はメーテルランクの同名戯曲。

相互リンク先のkeyakiさんeuridiceさんSardanapalusさんのところで最近、『ペレアスとメリザンド』が大流行中ですので、こちらも便乗します(笑)。私はこのプロダクションの実演を94年の春先、パリ・シャトレ座で観ています。が、そのときは指揮をする予定だったブーレーズが直前になって病気で降板したため、落胆のあまり印象も散々。その憤懣やるかたない思いを手記にしたためたものでした(cf. SUNSET, SUNRISE ー 訪欧記'94、第7章)。というわけで、念願のブーレーズ指揮による演奏とともに、その映像をあらためて見直してみる機会を得ました。

舞台の印象はさほど変わりません。闇の中に光のラインを配したシンプルな構図の舞台。たしかに美しい、否、印象的なシーンの連続です。ペーター・シュタインの演出はさすがに巧いと思います。ドビュッシーの音楽の流れにもよく合わせてあります。
でも、やはりここでの主役はブーレーズ。流麗な中にも起伏を付けて、うねりを上げるようにして音楽が進んでいきます。繊細、かつ大胆、そんな感じです。濃密なドビュッシーとでもいいましょうか。シュタインが時としてついつい描き過ぎてしまうのも、むべなるかな、という気がします。う~む、やはりブーレーズの指揮で実演に接したかったなあ・・・。

ところで、メリザンド役は愛しのハグリー様だったのね、この公演(cf. シャトレ座『フィガロの結婚』)。どうりで印象がよかったわけだ。(←嘘をつけ!)
ちなみにペレアス役のアーチャーはテノールです。

尚、上に挙げた94年の旅行記とは別に、同じ年、私が大真面目で書いた評論、「ペレアスとメリザンドの迷宮」なる一文もありますので、ご興味のある方は御一読ください。メリザンドみたいな雰囲気を持つ、とある女流仏文学者の方からは、「ケッサクね!」のひとことで片付けられました(泣)。

★★★☆

メリザンド:アリソン・ハグリー
ペレアス:ニール・アーチャー
ゴロー:ドナルド・マクスウェル
アルケル:ケニス・コックス
ジュヌヴィエーヴ:ペネロープ・ウォーカー
イニョルド:サミエル・バーキー
羊飼い・医者:ピーター・マッソーキ

合  唱:ウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団
管弦楽:ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団
指  揮:ピエール・ブーレーズ
演  出:ペーター・シュタイン

[  収録:1992年3月、カーディフ・ニューシアター  ]

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コメント

Orfeoさん、こんにちは。
私も一時、《ペレアスとメリザンド》に、はまったことがあります。(^^)
大好きです。
そういえば、昔、岩波文庫の対訳版を辞書片手に必死になって読みました。

投稿: snow_drop | 2006/04/19 09:37


snow_dropさん、こんにちは。
あはは、私と一緒ですね。
岩波の対訳版、いいですよね!

投稿: Orfeo | 2006/04/19 12:08

リンクしてくださってありがとうございます。確かに「ペレアスとメリザンド」盛り上がってますね。こういったきっかけでもないと聴かないという人が多そうなオペラですもんね~(笑)私もそんなに得意ではありません。

この公演は、家にもあるはずなのにビデオがなかなか出てきてくれません~。ので、皆さんのレビューを読んで気を紛らわしています。

投稿: Sardanapalus | 2006/04/19 13:38

リンクとTBありがとうございます。
こちらからもTBさせていただきます。
きのけんさんのインタビューも勝手に拝借してます。

これは、オペラじゃないクラシック好きの人の方が好きな方がおおいかもしれませんね。
私は、Sardanapalusさんが言及されているように
>こういったきっかけでもないと聴かないという人が多そうなオペラですもんね~(笑)
なので、こういきっかけってありがたいですね。

ところで、この映像は、ちょっと肥満気味の小生意気そうな子供が出てくるやつかしら?

投稿: keyaki | 2006/04/19 13:55

Orfeoさん、便乗ありがとうございます。私も便乗ですが....^^;


>肥満気味の小生意気そうな子供
これには出てこないようですねぇ....
(子どもはごく普通体型だわ)
もしかしたら、リヨンの映像じゃないかしら?
テレビで見た記憶がありますが、録画は行方不明みたい..

お話も音楽も、もやもやとした感じで、よくわかりません^^;

投稿: edc | 2006/04/19 14:14


>Sardanapalusさん
どうもです。
なんだか、肩身の狭いオペラなんですね、これって(笑)。そちらでご紹介いただいたキーンリーサイドのペレアスが聴けるという放送、楽しみにしていますよ!

>keyakiさん
毎度どうも。
その「肥満気味の小生意気そうな子供」って表現、なんだか嫌味入ってます?笑っちゃいました^_^;;

>edcさん
keyakiさんのご質問に代わりにご回答いただき、ありがとうございました。助かります。
もやもやとしてるのがメーテルランクであり、ドビュッシーなんだと思いますよ^_^;;
でも、演出に関しては結構直裁的だと思うけどなあ・・・。

投稿: Orfeo | 2006/04/19 16:17

>演出に関しては結構直裁的
ですね。すっきりして、映像も美しいと思います。

投稿: edc | 2006/04/19 18:26


>edcさん
うん、全体が暗めなのに、かなりクリアな映像ですよね、これ。シャトレ座で観たときは舞台から遠くの席だったので、今回DVDで見直してみて、なるほどこうなってたんだあ、と思うところも多々あって、面白かったです。

投稿: Orfeo | 2006/04/19 20:33

 うん、Orfeoさんはまったく運が悪い!。いらっしゃるのが2年前だったらねえ…。実は、ブーレーズを初めて聴いた 1975年から今日まで、彼が病欠してるのを見たのはこの時が唯一だったんです。逆に、ピンチ・ヒッターを頼まれると、元の指揮者のプログラムをまったく変更することなく代演をやっちゃう…という特技がありまして、マゼール(アンサンブル・アンテルコンタンポラン)、小澤(フランス国立管)、ハイティンク(パリ管)…とブーレーズが代わりに出てきたのには何度もぶつかってます。小澤の時なんか、小澤プロの全曲(ドビュッシー、ラヴェル)を継承したあげく、自分のやりたい曲も加えて追加公演までやっちゃったんだよ!。

 実はこの《ペレアス…》、当時『ふらんす』誌に出した記事が残っておりまして↓、当時感じたことをありありと思い出しちゃったんですけど、

http://magicdragon-hp.hp.infoseek.co.jp/KK/kinoken_file00/france/france_92.html#1992-08

ちょっと説明を補足しておくと、例のバイロイトでの《指輪》はブーレーズ側の希望では当初ペーター・シュタインが演出に予定されていたんです。シュタインもOKを出したんですが、シュタイン側では1年で4作全部を演出するなんてのは以ての外と、1年に1作づつ4年がかりで完成させ、4年目に初めて全曲を全部上演するというプランに固執したんです。ブーレーズももちろんそれを了承したわけですが、それはヴォルフガンク・ワーグナーの容れるところとならなかった。それでペーター・シュタインが下りちゃって、代わりにシェローになったというわけ(当時ブーレーズはシェローの芝居を1本だに見たことがなかったと自白してます)。シェローだって1年に1作づつ4年がかりには変わりなかったんだけれど、彼は初年次からいちおう全4作の枠組みだけは作っておいて(シェローの場合、演劇部門でも、まづリシャール・ペドゥッツィの舞台装置が出来てからシェローが演出を組み立てるのを常としていました。シュタインの場合は逆なんだよね)、1年毎に1作づつ完成させていくという妥協策でいったわけ。だから、《ワルキューレ》なんか初年次と翌年では舞台装置までがらっと変わっちゃったというわけなんです(第三幕)。
 あれ以後、ブーレーズは常にペーター・シュタインと一緒に仕事をしたかったわけなんですけれど、シェローとの関係が続いちゃったもんで、その機会が1度もなかったわけよ。それで、それ以前からペーター・シュタインを使っていたウェルシュ・ナショナル・オペラのプロジェクトに一発で飛びついたというわけ。そういや、初年次は三ヶ月くらい向こうに行きっぱなしだったよね。

>keyakiさん& sardanapalusさん:
 オペラ・ファンは苦手…という話、昔からそうみたい。スカラ座で初演をやったのがトスカニーニなんですが、演奏が始まってしばらくして天井桟敷から「おおい!音楽は何時始まるんだあ!」なんて野次が飛んだもんで例によってトスカニーニが癇癪玉を破裂させたなんて話が残ってますね。
きのけん
 

投稿: きのけん | 2006/04/20 06:16


>きのけんさん
『ふらんす』誌の記事、読ませていただきました。う~ん、なるほどねえ。いわゆる「フランス風」の音楽にしたくなかったという点に関しては、まさに94年のロバートソンがそれを見事にやってのけちゃったわけなんですが(笑)、ブーレーズとはちょっと次元が違う話ですわね。あれを聴いてしまうと、この92年の映像でのブーレーズは十分「フランス風」に感じてしまいます。

シュタインがメーテルランクのテクストに違和感を覚えていたという点はまったく同感です。彼は意図的にメーテルランクの戯曲から逸脱しようとしてますよね。にもかかわらず、当時、このプロダクションに関して、「これぞ象徴主義!」なんて誉めそやす批評家があまりに多くて、「なに言ってやがる!」と思ったものでした。

投稿: Orfeo | 2006/04/20 07:42

▼象徴主義?
 …そうなんです。世の評論家たちは、この連中が思わせぶりな「象徴主義」というのをどのくらい毛嫌いしているか知っとく必要があるよね。特にペーター・シュタインはシェロー以上に嫌ってたんじゃないかな?…。シェローが《指輪》をやった時も,象徴、象徴言われて、あいつ癇癪玉を破裂させて、オレの舞台には「象徴」なんぞただの一つもないぞ!なんて暴言を吐いてました(笑)。
 ほんと、ペーター・シュタインはブーレーズから、一緒にやろうやろうと突き上げられて、随分困ったらしいよ。その点、音楽家側と演劇側の感覚の違いが表れていて面白いんだけど、シェローが一頃ブーレーズを焚きつけてやらせようと頑張ったのが《椿姫》で、ブーレーズはついに首をタテに振らなかったんだ。《椿姫》なんかを振るのは面子にかかわると思ったんだね、きっと。でも、シェロー側にしてみれば、《ルル》だって《椿姫》だって同じなんだよ。演劇部門の大口径は皆あれをやりたい。ストレーレル、ヴィスコンティ、ロンコーニ、グリューバー…結構皆やってるんだよね。
 逆に象徴的なものを匂わせてよかったのが70年代のジョルジュ・ラヴェリ版で、メリザンドというのは水から生まれて水へと帰っていく妖精なんだよね。ラヴェリ自身は、あれは青髭の何番目かの女だろうなんて阿呆なことを言ってましたが、実際の演出ではそんなことはオクビにも出さず、専ら水のテーマのヴァリエーションになってた。泉の畔で見つかったメリザンドが死んだベッドが舞台奥の湖の方に引っ込んでいって消える…。

▼テノールかバリトンか?
 あっそれから、トラックバックしてあったeuridiceさんのブログで keyakiさんとの間で話題になっていた、主役がテノールかバリトンか?…という議論ですが、あのペレアスという役は、フランス音楽に特有の「バリトン・マルタン」というタイプの声のために書かれた役なんです。バリトンでもいちばん軽いタイプの声。オペレッタをやったり歌曲を歌う声だよね。このオペラの歴史的リファレンスは戦時中に録音されたロジェ・デゾルミエール盤なんですが、あすこでペレアスをやってるジャック・ジャンセンがその典型例ですね(相手役のイレーヌ・ジョアキムは19世紀の例の有名なヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの娘:こないだジャン・ルノワールの《ラ・マルセイエーズ》を見てたら出てきて一曲歌ったんでビックリ!)。一昔前はああいうバリトンってほんといなかったんだよ。今ではバロック系の軽いバリトンたちが得意としてますけどね。僕が実際に聴いたうちでも、テノールは一度だけだったかな?…。それからしばらくして自殺しちゃったエリック・タピーでした。70年代のジョルジュ・ラヴェリ演出版ではリチャード・スティルウェルが出ない時はフィンランドのヨルマ・ヒュンニネンでした。ミュンヒェンで見たジャン=ピエール・ポネル版にはヴォルフガンク・ブレンデルが出てきましたが、あれじゃあ貫禄あり過ぎて…。相手役のエディット・マティスはすごくよかったですが…。メリザンドは昔シュヴァルツコプなんかもパリで歌ってます。ブーレーズのコヴェント・ガーデン版はジョージ・シャーリーなんて最適な人を使ってましたね。そうそう、ドナルド・マッキンタイヤー、ドナルド・ワードにイヴォンヌ・ミントンとか…ワーグナーを感じさせるのはむしろあっちだよね。
 ロバートソンに較べてブーレーズの方が「フランス的」というのはまったくその通りで、バレンボイムとビシュコフ時代のパリ管が、定期的にブーレーズを呼んでフランス的な音のメンテナンスをやってました。ビシュコフがブーレーズの振るフランス音楽を聴きに来てて、テメエのオケから何であんな音がするんだ!って、楽員たちに、お願いだからボクがフランス音楽をやる時もああいう音を出してくださいってお願いしたんだって。これはバイロイト祝祭管に入ってたヴァイオリンのジャン=ルイ・オリュさんから聞いた話だから本当らしい…。
きのけん

投稿: きのけん | 2006/04/21 00:08


>きのけんさん
『椿姫』なんて振ってられるかよ!というブーレーズの話って、面白いですね。だいたい、それまで「オペラなんてもう振らん」と言ってたブーレーズが、この『ペレアス』をやっちゃったということは、やはりよっぽどペーター・シュタインの存在が大きかったんでしょうねえ!

それにしても、シュヴァルツコプのメリザンド、聴いてみたいものです。見たかないけどね・・・(笑)。

投稿: Orfeo | 2006/04/21 08:53

私も94年に「ペレアスとメリザンド」をバーミンガムのピポドロームまで追いかけていったらブーレーズ先生がご病気で…。
ヒースロー空港からバスでオックスフォード経由バーミンガムまで長かったがブーレーズのオペラを聴きたいばかりに苦にはならなかった。しかしキャンセルと聞いたときにはさすがにガッカリ。懐かしい話です。

投稿: elsinor | 2009/05/01 23:48


elsinorさん、はじめまして。94年にお互いブーレーズ先生のご病気に泣かされた仲間ですね。妙に親近感が湧いてきました^_^;;

投稿: Orfeo | 2009/05/02 15:05

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» ドビュッシー:《ペレアスとメリザンドPelléas et Mélisande》 [keyakiのメモ、メモ.........]
Sardanapalusさんのブログに《ペレアスとメリザンド》のザルツブルク・イースター音楽祭公演の記事が掲載されています。ペレアスは「テノール、バリトン、どっちが歌うの?」という疑問についてとても興味深いコメントもついています。ところで、R.ライモンディもカラヤンの下、アルケル王役の録音がありますので便乗記事です。今回のザルツブルク・イースター音楽祭のゴローはこのCDと同じ※ジョゼ・ヴァン・ダムなんですよ、急な代役だそうです。※ちなみにこのCDのペレアスはリチャード・スティルウェル、バリトンです... [続きを読む]

受信: 2006/04/19 13:57

» ドビッシー「ペレアスとメリザンド」1992年ブーレーズ指揮 [雑記帳]
「青い鳥」で有名なメーテルリンク(メーテルランク)による原作の、ドビュッシー自身による台本に基づく作品だそうです。同じ題材では、オペラを知る前からおなじみだった、フォーレやシェーンベルクの管弦楽曲もあります。 相互リンクブログ、FOOD FOR SOULでザルツブルク復活祭音楽祭での公演について取り上げられて、話題です。 この映像は、ずっと以前にテレビで見ましたが、それより前に、keyakiのメモ、メモ.........にある録音も聞きました。とらえどころのないさざ波みたいな曲だと思ったもので... [続きを読む]

受信: 2006/04/19 14:04

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