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2006/01/09

『神々の黄昏』(バイエルン州立歌劇場)

cd-ring-bayerisches DVDライブラリーより。

宇宙的規模で繰り広げられるバイエルン・リング、最終章。本来は、ジークフリートはブリュンヒルデから駿馬グラーネを与えられて旅立っていきますが、なにせ舞台が宇宙空間にぶっ飛んでしまっているので、そんなものは出て来ません。宇宙船がUFO化して(乗り換えた?)地球に降りていきます。このへんはイメージ映像を流して処理。そして降り立ったのは、高層ビルの夜景が煌めくマンハッタン(?)。ギービヒ家の館は家というよりこれまた宇宙船ぽい近未来基地、奥に開いた口からその夜景を見下ろす形。きっちり正装したグンターやグートルーネたちの元に、剣を携えた野生児ジークフリートが現れます。なんとも珍妙な光景です。
その後ブリュンヒルデの宇宙船に戻ったりしながら話は進み、ノルンたちの登場シーンから舞台はとうとう抽象アートの世界へ。不思議いっぱいの舞台の中でジークフリートが倒され、最後はブリュンヒルデが炎の中に身投げするのではなく、ジークフリートの亡骸の上に重なるように身を崩して息絶え、ワルハラ炎上のシーンもなし。ちょっと拍子抜けします。だいたい、最後のこの場面がいったいどこなのか、当然さっぱり分かりません。なにやら建築現場みたいな意匠になっていますが、後ろに廃墟と化した風景のようなものが見えているので、これで世界の終末を表わしたかったのかもしれません。『ラインの黄金』で出て来た頭部の彫像が転がっていたり、最後ハーゲンが地球儀(これも『ラインの黄金』で出て来た)を抱えて登場して息絶えたりするところに話の繋がりが見え隠れしていますが、それとてなんの説明にもなっていません。形だけは『ラインの黄金』の冒頭に呼応する形で、ローゲが出て来て、舞台を周回し、身にまとっていたマントをブリュンヒルデとジークフリートの二人の身体の上にかぶせ、床に落ちていたレコード盤を拾い上げて視線を送り、それを無造作に放り投げると、あの文字が書き込まれた幕が降りてきて、その幕の前から立ち去って終わりとなります。なんだかなあ・・・。

なにより、この『指環』シリーズは、全編を通してイメージ映像のフェイドイン/アウトを多用しているので、とても見辛いものがあります。やはり、音楽を聴くだけでいいかも?コロの張りのあ歌唱、そしてベーレンスとマイヤーの競演はさすがに聴きものです。

★★★

ブリュンヒルデ:ヒルデガルト・ベーレンス
ワルトラウテ:ワルトラウト・マイヤー
グートルーネ:リスベート・バルスレフ
ジークフリート:ルネ・コロ
グンター:ハンス・ギュンター・ネッカー
ハーゲン:マッティ・サルミネン
アルベリヒ:エッケハルト・ウラシハ
ヴォークリンデ:ジュリー・カウフマン
ヴェルグンデ:アンジェラ・マリア・ブラージ
フロースヒルデ:ビルギット・カルム
第1のノルン:マリヤナ・リポヴシェク
第2のノルン:イングリット・カラッシュ
第3のノルン:ペネローペ・ソーン

合  唱:バイエルン州立歌劇場合唱団
管弦楽:バイエルン州立歌劇場管弦楽団
指  揮:ウォルフガング・サヴァリッシュ
演  出:ニコラウス・レーンホフ

[  収録:1989年11月26・27・30日、バイエルン州立歌劇場  ]

【関連記事】

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『ワルキューレ』(バイエルン州立歌劇場)
『ジークフリート』(バイエルン州立歌劇場)

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コメント

Orfeoさん、こんにちは

ヘルガ・デルネシュについて記事を書きましたが、ミュンヘンのワルキューレのところ、リンクさせていただきましたm(_ _)m

投稿: edc | 2006/01/09 09:04


edcさん、TBありがとうございます。
早速お邪魔いたしますm(_ _)m

投稿: Orfeo | 2006/01/09 12:15

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» ワーグナー「神々の黄昏」バイエルン国立歌劇場1989年 [雑記帳]
1989年、NHKがハイビジョンで録画してきたという、ニコラウス・レーンホフ演出、ヴォルフガング・サヴァリシュ指揮、ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場、ワーグナー「ニーベルングの指環」公演。最終話「神々の黄昏」あらすじなど、こちら、Orfeoさんのオペラ・レヴューをご参照ください。 今回の再視聴は、三倍ビデオの画質がいかにもひどいので、いつだったか買って、それっきりしまいこんでいたDVDです。やっと最終話「神々の黄昏」にたどりついたわけですが、私の場合は、やはり全体的に、引込まれないし、どうにも... [続きを読む]

受信: 2006/09/18 19:45

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