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2005/12/15

『パルジファル』(ベルリン州立歌劇場)

dvd-parsifal-berlinDVDライブラリーより。

ワーグナー作の舞台神聖祝典劇。キリストが最後の晩餐で使い、十字架の受難でその血を受けたという聖杯(グラール)を守る城主と騎士団の物語。

この年、新しい音楽監督に就任したばかりのバレンボイムの手によって行われたベルリン州立歌劇場創立250周年記念公演のライブ映像。ここでのグラール城は宇宙船の内部という設定で、大きめの円形のハッチで外部世界と繋がっている。全体がメタリックで巨大な壁が自在に動き、情景が刻々と変わっていくが、暗闇の中に巧みに光のラインを取り入れ、コントラストを付けている。花の乙女たちはテレビ・モニターで登場し、最後はクンドリーが死なないことになっているのが異色。ようするに、この宇宙船の中にはクンドリーしか女性がいないので、死なれてしまっては困るのだ。それにしても、悩殺コスチュームで迫ってくるマイヤー/クンドリーになびかなかったエルミング/パルジファルはエライ(笑)。バレンボイムらしい重心の利いた音楽が鳴り響いていて、新しいコンビの相性の良さが窺える。

★★★

パルジファル:ポール・エルミング
クンドリー:ワルトラウト・マイヤー
グルネマンツ:ジョン・トムリンソン
アムフォルタス:ファルク・シュトラックマン
クリングゾル:ギュンター・フォン・カンネン
ティトゥレル:フリッツ・ヒューブナー

合  唱:ベルリン州立歌劇場合唱団
管弦楽:ベルリン州立歌劇場管弦楽団
指  揮:ダニエル・バレンボイム
演  出:ハリー・クプファー

[  収録:1992年11月1日、ベルリン州立歌劇場  ]

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コメント

テレビで観ました。暗かったです・・・ 3幕がちょっと印象的だった記憶。1幕で奇妙な棒状?!のものにアンフォルタスがしがみついてるのって・・・ 人々はカルト集団に見えましたが、地球滅亡後の宇宙船内だったら、もともとそうじゃなくても、そうなっちゃうかも。

投稿: edc | 2005/12/15 07:29


edcさん、どうもです。
カルト、入ってますよね、これ。まあ、もともとワーグナーの音楽が・・・(以下、強制削除)

投稿: Orfeo | 2005/12/15 12:04

>グルネマンツ:ジョン・トムリンソン
本編と関係なくて申し訳ないんですけど、この映像でもトムリンソンは髭ありですか?今ロンドンの「ビリー・バッド」で髭の無い姿が「誰か分からない!」と話題になっているんです(笑)

投稿: Sardanapalus | 2005/12/16 09:04

Sardanapalusさん
ヒゲありますよ^^!
こちらに写真が一枚あります。大きくなりますのでご覧ください。あのオヒゲの人、トムリンソン@グルネマンツでしょ?

http://www.geocities.jp/euridiceneedsahero/video35.html

投稿: edc | 2005/12/16 10:23


edcさん、代わりに答えていただいて、恐縮です。
それにしても、ヒゲなしのトムリンソン、見てみたいなあ(笑)。>Sardanapalusさん

投稿: Orfeo | 2005/12/16 11:54

 ジョン・トムリンソンは 1980年代初めから割としょっちゅうパリに来てました。最初の頃は、なんとブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランの常連歌手だったんです。僕は、それ以前に、ヘンデル《チェーザレ》…じゃなくてENO英語版《ジュリアス・シーザー》(マケラス指揮ジャネット・ベイカー主演)で知ったんじゃないかと思うんですが…、確か、当時、ブーレーズ指揮ストラヴィンスキー《プルチネッラ》のバリトンは必ずトムリンソンだったと憶えています。うん、確か最初はジョン・シャーリー=カークの代演でやって来て、ブーレーズに気に入られてそのまま居ついちゃった(エラート盤の録音はどっちだっけ?…)。勿論当時は、この人がまさかヴォータンまでやっちゃうとは予想だにしませんでしたが、あの頃は髭はなかったな。その数年後にジョルジュ・プレートル指揮、アントワーヌ・ヴィテーズ演出版ヴェルディ《マクベス》でバンクォを演った時にはもう髭があったみたい(まあ、役が役だからね)。
 その後、バイロイトの《指輪》指揮が決まり、パリ管でさかんに予行演習をやってた頃、毎回ヴォータンで出てきましたが、実は、あのバイロイト版《指輪》のヴォータンには、当初なんとフィッシャー=ディスカウが予定されていたんです。パリ管の予行演習でも、最初にやった《ラインの黄金》がフィッシャー=ディスカウで(トムリンソンはドナーをやってたんじゃないかな?…)、次の《ジークフリート》にもちゃんと予定されていた。ところが、この時点でキャンセルになって、その時はフランツ・マツーラが代役でしたが、翌年の《ワルキューレ》、《黄昏》あたりからバレンボイムのヴォータンはトムリンソンに定着しました。その他《パルジファル》と《トリスタン》にも出てきたなあ。特に《トリスタン》はパリ管の全米ツアーにも持っていったよ(ベーレンス、ゲイリー・レイクス、ヴァルトラウト・マイヤー、トムリンソン、クルヴェナルは誰だったか忘れた)。そうだ、当時日本に《ファウストの劫罰》を持っていったでしょ。あのメフィストもトムリンソンだったよね、確か…。マルグリートがマイヤー様で。うん、あの頃から立派な髭があったよ(笑)。
 ところで、このクプファー版《パルジファル》ってオトマール・ズイトナー時代の制作の持ち越し?…。ズイトナー指揮ベルリン州立(=国立)歌劇場のパリ公演の時、《パルジファル》は演奏会形式だったんですが、プログラムにこの制作の写真が載ってました。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/12/16 12:09


うん?新演出のはずですが・・・。

投稿: Orfeo | 2005/12/16 12:48

 バレンボイムの《パルジファル》といえば、ジャン=ピエール・ポネル演出版《トリスタン》でバイロイトに初登場したバレンボイムが次にやりたがってたのが《パルジファル》で、そいつを僚友ジェイムズ・レヴァインに持ってかれちゃったもんで、毒づいたこと、毒づいたこと!…。「《トリスタン》ならまだしも《パルジファル》のような顕らさまに反ユダヤ的な作品を振る奴の気が知れない」なんてクサしていたのが、その口の端も乾かぬほんの数シーズン後にパリ管で演奏会形式全曲を組んじゃったのにはびっくり仰天。よっぽど悔しかったんだね(笑)。
 それにしても、この人ほどワーグナー演奏に長足の進歩を遂げた人っていません。彼がそのポネルに誘われてベルリン・ドイツ歌劇場で初めて《オランダ人》に挑戦した直後、パリ管で《トリスタン》の二幕を演奏会形式で振ったんだけど、この時点では目も当てられない惨憺たる演奏だった。事実、当時(1970年代末〜80年代初め)パリ管ではワーグナーはズービン・メータに任せっきりだったんです。ところが、あの男はいざやるとなると徹底してやるんだよね。それこそ、リストによるワーグナー・オペラのパラフレーズ辺りまでリサイタルで採り上げるようになり、そのほんの数年後には見違えるような演奏になった。ホント、その次にジェシー・ノーマンを迎えてやった同じ《トリスタン》抜粋と《ヴェーゼンドンク・リーダー》なんて、同じ指揮者とは思えないくらい…。
 そういや、バレンボイムってのは、現役指揮者では、多分唯一ワーグナーの作品の世界初演をやっている人だってのご存知?…。《クルチーユ下り》というパリ滞在時代に書いたキャバレエ音楽みたいな合唱入りの実に楽しい曲なんですが、ヴォルフガンク・ワーグナーはこれを世界初演してもらおうと、ブーレーズのところに楽譜を持ち込んだのですわ。そしたら、なんじゃいこれ?とブーレーズが突っぱねてバレンボイムに回しちゃった。それでバレンボイムがパリ管+合唱団で世界初演をやったというわけ。
きのけん
 

投稿: きのけん | 2005/12/18 09:41


ま、冷静に考えてみりゃ、バレンボイムがワーグナーに入れ込むってのも、ちょっと不思議かもしれませんね。これはやはりフルトヴェングラーの影響ということなんでしょうか?

《クルチーユ下り》の話は以前WMLで伺ったような記憶が・・・。

投稿: Orfeo | 2005/12/18 14:17

euridiceさん>
ありがとうございます~。そうです、この髭、トムリンソンです。って、皆髭で判別してるから今回の髭無しクラッガートでビックリしたんだろうなぁ(笑)

orfeoさん>
髭なし白塗りで話題(笑)のトムリンソンの写真は、こちらの批評に大きいのが載ってます。批評自体はスペイン語ですが、写真2枚目と4枚目に「あんた誰?」なトムリンソンが写ってますよ。
http://www.operayre.com.ar/criticas/2005/billy/untitled.htm

きのけんさん>
こんにちは。トムリンソンの面白い話ありがとうございます。彼は言語も時代も様々なオペラ歌ってますよね。最近はロンドンとドイツが多いようですが、パリにも良く行っていたんですか~。

投稿: Sardanapalus | 2005/12/19 10:06


Sardanapalusさん、ご紹介ありがとうございます。
これがトムリンソン?
人は見掛けによらない、もんだなあ・・・(爆)。

投稿: Orfeo | 2005/12/19 12:29

> Sardanapalusさん:

 そうなんですよ。それもブーレーズのお気に入りでアンサンブル・アンテルコンタンポランの常連だった…なんて信じられる?…。当時はENOでヘンデルなんか歌ってたんだからねえ…。

Orfeoさん:
 あの男は純粋ユダヤだからワーグナーには最初のうちは随分抵抗あったみたいだよ。だから、それまでワーグナーの演奏を禁じられていたイスラエルで初めてワーグナーを振ったのはズービン・メータでバレンボイムじゃないんだよね。
 そういや、R・シュトラウスも同様で、少なくともパリ管時代末まで彼はシュトラウスに一切手を出してません。パリ管最後の年に《ドン・キホーテ》をやってますが、あれは、ロストロポーヴィチが、そんな偏見を持ってはいけないと口説いたらしいんだ。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/12/20 08:24


4年ほど前にもバレンボイムがイスラエルでワーグナーを演奏して、大問題になりましたよね。なんにせよ、一旦やり出すと、とことんまでやらにゃあ、気が済まない御仁みたいですね。

投稿: Orfeo | 2005/12/20 16:17

 …うん、そうなんだけど、そもそもユダヤ人指揮者抜きでワーグナー演奏史って考えられないでしょ。だいたい《パルジファル》を世界初演したのがヘルマン・レヴィってくらいだから…。もしワーグナー自身が本当に反ユダヤだったら、事もあろうに《パルジファル》の世界初演をユダヤ人に任すわけはないやね。
 そういや、僕のインタビューで、同じくユダヤ人指揮者(彼はアメリカのユダヤ系ルーマニア人の家庭に生まれた)ロレンス・フォスターさんがユダヤ人のワーグナー演奏について微妙な発言をしてますのでご参照あれ(>リンク:以下「きのけん」下線)。
きのけん 

投稿: きのけん | 2005/12/22 16:13

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