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2005/10/26

『フィガロの結婚』(ウィーン芸術週間)

dvd-nozzedifigaro-wienDVDライブラリーより。

没後二百年のモーツァルト・イヤーに当時ウィーン国立歌劇場音楽監督だったアバドの下で制作上演されたプロダクション。94年に来日公演も行われた。傾斜舞台の上に写実的セットが並んでいる。ミラーは回転舞台を利用して、1幕と2幕、及び3幕と4幕のフィナーレとがドラマが途切れることなく繋がっていくように施している(よってフィナーレは庭園の中ではなく、屋敷の周りで展開する)。歌手陣に対する要求もなかなか細かいが、それを皆スマートにこなしている。とりわけ、好色の伯爵を野卑に陥ることなく、威厳をもって演じているライモンディが面白い。哀愁さえ感じられる。アバドの優れた統率の下、音楽と舞台のバランスが取れた出色の『フィガロ』だと思う。

★★★★

アルマヴィーヴァ伯爵:ルッジェーロ・ライモンディ
伯爵夫人:チェリル・ステューダー
フィガロ:ルチオ・ガッロ
スザンナ:マリー・マクローリン
ケルビーノ:ガブリエーレ・シーマ
マルチェリーナ:マルガリータ・リロワ
ドン・バジリオ:ハインツ・ツェドニク
ドン・クルチオ:フランツ・カーゼマン
バルトロ:ルドルフ・マッツォーラ
アントニオ:イシュトヴァーン・ガーティ
バルバリーナ:イヴェッタ・タンネンベルゲローヴァ

合  唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指  揮:クラウディオ・アバド
演  出:ジョナサン・ミラー

[  収録:1991年5月16・18日、アン・デア・ウィーン劇場  ]

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コメント

   
出た出た! (月じゃないですよ)
この「フィガロの結婚」を見て、「フィガロの結婚」がはじめて面白いと思いました。

キャスティングのズレがない!というのがオペラにしては貴重です。これはめったに実現しないことですものね。
LDから未だにDVDにならないのは、なぜでしょう。

伯爵夫妻の子供、上が女の子で7才くらいで、下が生まれたばかりの男の赤ちゃんが登場するのも芸が細かい。

ジョナサン・ミラーはこれより前は、けっこう読み替えの過激な演出家だったようですね?

同じアンデアウィーンのリュック・ボンディ演出の『ドン・ジョヴァンニ』は録画されてなかったんですよね。

投稿: keyaki | 2005/10/26 20:19


keyakiさん、おまた(爆)。

さりげないシーンでも丁寧に演出されてますよね。
3幕でしたか、ライモンディが部屋から退出していくときに、執事に連れられた飼い犬が入ってきて、ライモンディがその犬を愛撫しながら出て行くところとか、妙に印象的でした。

ミラーといえば、ニューヨーク・マフィア版『リゴレット』で有名ですからね。随分真っ当な演出もやるもんです。

投稿: Orfeo | 2005/10/26 21:37

 出た出た!…やっぱし keyakiさんが来てた(笑)。

 なるほど、あのマフィア版リゴレットというのはあいつでしたか!…。
 でも、あいつすごいホモじゃなくって?…。バスチーユの現行《ラ・ボエーム》の初演の回。その後キャストが代わっちゃったからそんなこともなくなりましたけど、男性軍がもうやたらキレイなのね。それに反比例する形で女性軍が、これまた思い切り醜いんだよね。あすこまでえげつなくやるかよう!ってんで腹を立てたことがある。
 これなんかでもルッジェロがやたらキレイで、スチューダーなんかが思い切り…なんてことはない?…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/10/30 06:28


そうか、そういうことか!確かにライモンディやガッロはすこぶるスマートですからね。スチューダーは醜くはありませんけど、そっけない感じはします。本文に書いたとおり、伯爵夫人ではなくて、ライモンディの伯爵のほうに哀愁を感じてしまうのは、そういうところから来ているのかもしれません。

投稿: Orfeo | 2005/10/30 08:25

これは、スザンナのマリー・マクローリンがやたらかわいくて演技も自然だし、チェリル・ステューダーもふっくら子供を二人生んだ若奥様で、ほんとに、映画でも通用する様なキャスティングだと思いました。
同じくらいの時期のスカラ座のアッティラのオダベッラのステューダーはすごいです。まさに女剣劇一座の座長というかんじで、チビのアッティラは完璧負けてました。(つい先日、見たので思い出しました)

ジョナサン・ミラーの「ファルスタッフ」もすごくいいですよ。このフィガロの結婚の路線上にある演出ですね。奇抜さを競ってもしかたがないと悟ったのかも。
演出は、ブーイングが出てなんぼ・・・なんて考えもあるようですが、見る方もつかれますものね。

投稿: keyaki | 2005/10/30 14:18


そういや、ステューダーって、どこいっちゃったんでしょう?最近活躍してます?いっときフォームを崩して、ウィーンなんかで散々ブーイングを受けて、そのまま消えた?この人、90年代前半に実演で接したりして、好きだったんだけどなあ・・・。

>演出は、ブーイングが出てなんぼ・・・なんて考えもあるようですが
確かにそういう確信犯的な演出家もよく見掛けますが、ミラーはちょっと違いますよね。なにせこの人は英国演劇界でしっかり名を成した演出家ですから、きっちりとした構成感を持つ舞台を毎回作りますね。

投稿: Orfeo | 2005/10/30 17:13

 keyaki出た出た!…なんて書いてて急に思い出したんですけど、そういや、ウチにライモンディがスカルピアをやってるCDがあったはづだけどなあ…と探してみたら、そうか、アントニオ・パッパーノ盤だったか!
 いつだったか、keyakiさんの方で助六さんが書いてたと思いますけど、このパッパーノの録音を使っているブノワ・ジャコ監督版《トスカ》のレヴューはここには出ないんですか?…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/10/31 04:04


ライモンディのスカルピアは別の映像で持っていますが(レアル劇場『トスカ』 http://orfeo.cocolog-nifty.com/orfeoblog/2005/07/post_85f7.html )、ジャコ版は持ってないので、ここには出ません(笑)。やはり見とくべきなんですか?

投稿: Orfeo | 2005/10/31 08:31

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» モーツァルト「フィガロの結婚」アン・デア・ウィーン劇場1991年  [雑記帳]
「フィガロの結婚」じゃなくて「スザンナの結婚」だなんて、言われたりもしたほど、生き生きとして、目が覚めるほど魅力的なマリー・マクローリン。ほんとに奇麗で、素敵です。 彼女に限らず、オペラでは当たり前みたいな、役と演者のずれがない上、登場人物がそれぞれ非常に個性的でおもしろいです。回り舞台が効果的で楽しい。 このオペラの映像としては2番目。最初はベーム指揮、ポネル演出の映画版。全然違う印象で、それぞれ違ったおもしろさがあります。けっこうたくさんの映像を見てきましたけど、選ぶとしたら、このふたつで... [続きを読む]

受信: 2006/02/18 07:37

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えうりでぃちぇさんの記事『モーツァルト「フィガロの結婚」フィレンツェ2003年』に便乗して、元祖!ジョナサン・ミラー演出、1991年の《フィガロの結婚》です。1991年5月「モーツァルト・イヤー」の一番の呼び物は、ウィーン芸術週間での《フィガロの結婚》だった。斬新な演出、ENOでのマフィア版《リゴレット》とか、フィレンツェの《トスカ》で、センセーションを巻き起こしたことで知られるジョナサン・ミラーの演出とくれば、なにかやるに違いない、と前衛的な舞台を期待していた向きに、肩すかしを食わせた。時代設定... [続きを読む]

受信: 2006/10/19 02:37

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