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2005/10/13

『カルメン』(グラインドボーン音楽祭)

dvd-carmen-glyndebourneDVDライブラリーより。

ビゼーのオリジナル版による、せりふ入りのオペラ・コミック形式での上演。舞台は終始マクヴィカーらしい暗めの色調の中で展開する。フォン・オッターのカルメンといえば、かって東京のオーチャードホールでコンサート形式による公演(97年、ケント・ナガノ指揮、リヨン国立歌劇場)があって聴きにいったのをよく覚えている。私は新鮮なカルメン像で面白いと思ったのだが、批評家連中からは酷評されていた。まあ、従来の「悪女」というイメージからは程遠いからねえ。でも、こういう等身大のカルメンがあってもいいと思う(ちょっと無理してる感じはするけれど・・・)。ナウリのエスカミーリョというのもまた従来の彼のイメージからするとちょっと異質かもしれない。「伊達男」という感じはしないからねえ(ごめんよ、ナウリ)。颯爽と指揮しているジョルダンのほうがよっぽど「伊達男」ぽいのは困りものだ(笑)。

★★★

カルメン:アンネ・ソフィー・フォン・オッター
ドン・ホセ:マーカス・ハドック
ミカエラ:リーザ・ミルン
エスカミーリョ:ローラン・ナウリ
フラスキータ:メリー・ヘガティ
メルセデス:クリスティーヌ・ライス
スニーガ:ジョナサン・ベスト
ダンカイロ:クウェンティン・ヘイズ
レメンダード:コリン・ユードソン
モラーレス:ハンス・フォセザング

合  唱:グラインドボーン音楽祭合唱団
       ストーク・ブルンスウィック学校児童合唱団
舞  踊:グラインドボーン劇団・舞踊団
管弦楽:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
指  揮:フィリップ・ジョルダン
振  付:アンドルー・ジョージ
演  出:デーヴィッド・マクヴィカー

[  収録:2002年8月17日、グラインドボーン音楽祭歌劇場  ]

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コメント

      
今や、もてもてのマクヴィカーの演出ではじめてみたのがこれだったかリゴレット(NHK勝手に差替えの問題部分あり)です。
オッターのカルメンはどうみても無理していて、目をそむけたくなる部分が数カ所。ホセのハドックも同様。
見ている方に恥ずかしさを感じさせるということは、演技的に迷いがあってふっきれてないんでしょうね。
ナウリのエスカミーリョは、闘牛士というよりはマジシャン。鳩は出さなかったかしら? でも、見ていて恥ずかしくはないです。

一回は見る価値ありでょうけど、繰り返し見たいとは思いませんでした。

カルメンは、私がよく見ているのは全部コミック版ですが、新国では、レチタティーヴ版なので、時間もかかるし、超たいくつ。
新国派の私もカルメンだけはパスです。

私の一押しは、もちろんフランチェスコ・ロージ監督の「カルメン」、これは映画としても最高だと思います。

投稿: keyaki | 2005/10/13 09:40


keyakiさん、どうも。

だんだん、マクヴィカーって、なに見てもマクヴィカー(?)つうか、ワンパターンだなあ、っていう感じがしてきました。そう思いません?自分のスタイルを持っていることはけして悪いことではないんですけどね。でも、新鮮味がない舞台というのは問題だと思います。まだヴィックのほうがあれこれ趣向を変えて、面白いような気がします。ま、そのぶん、外れも出易いですけどね(笑)。

オッターに関しては、さすがに手厳しいですね。女性から見ると、ああいうのはやはり受け入れ難いのかな?男性の私がナウリに関してちょっと違和感を感じるのと、なんだか似ているような・・・(笑)。

投稿: Orfeo | 2005/10/13 17:31

>マクヴィカーって、なに見てもマクヴィカー(?)つうか

この人の演出、一見、オーソドックだと錯覚を起こしますね。それは、暗い舞台と衣裳のせいだとおもいます。
たとえば、来日のモネ劇場のドン・ジョヴァンニの騎士長は、3幕では、石像ではなくて、腐りかけのゾンビで登場。ゾンビと石像ではかなり違うと思うんですけど。なんかみんな納得しちゃってますものね。私には???です。(見に行ってないですけど)

>オッターに関しては、さすがに手厳しいですね。
オレンジのところなんか、演出家に無理してやらされてるって感じ、あの変な踊りもいただけないです。

マイヤーのカルメンも、ゼッフィレッリがなんでわざわざドイツ人を、、、ということで気に入らなくて、完璧彼女を無視したそうですね。ドイツの主婦にしか見えん・・と言ったとか言わないとか。

歌手も歌えるからってなんにでも挑戦するのは止めて欲しいです。

オペラファンには映画のジュリア・ミゲネスを嫌う人が多いそうですけど、私には他の歌手は考えられないです。
これがそばかすだらけで、特別に美人でもないし小柄なんですけど、セクシーでかわいい。怖いカルメンはイヤですね。

投稿: keyaki | 2005/10/13 21:11


マイヤーといえば、私も彼女のサントゥッツァは超苦手だなあ(笑)。
これ、そのうち出て来ますが・・・。

投稿: Orfeo | 2005/10/13 21:57

 フォン・オッターのカルメンなんて、あのリヨン歌劇場の日本公演だけだろうと思ってたら、ここでもやってるんですね。でも、いかにもグラインドボーン風と言うか…。

実は、あのケント指揮リヨン歌劇場の日本公演は当初武満徹のオペラの世界初演を持っていくはづだったんです。それが出来なかったもんで(あの時、武満は未だ生きていたっけ?…)、急遽《カルメン》に変更になっちゃったんですが、これって、舞台版じゃなかったの?…。パリじゃ、日本公演用に特別に作ったとかいうルイ・エルロ演出版をオペラ=コミック座で、その直前にやってましたよ。キャストは全然違って、指揮もケントじゃなかったと思いますが…。

 この種のカルメン像に先鞭を付けたのはテレサ・ベルガンサでしょう(ディスクはアバド盤)。あれは、パリでもオペラ=コミック座で上演されるはづだったんですが、アバドとオケが喧嘩…というより、アバドが改めてオペラ座管とリハーサルをしたくなくて、LSOをピットに入れることを要求してきたもんで、オケの組合が猛反対して、結局ピエール・デルヴォーに代わっちゃった。ドミンゴ+ベルガンサ+この時はエスカミリオがライモンディだったような憶えがうっすらあるんですが…違うかな?…(僕は第二キャストの方しか見てない)。1979 年か80年頃です。

 でも、例えばトーマス・ビーチャム盤のビクトリア・デ・ロスアンヘレスとか、レジーヌ・クレスパン(ロンバール=ストラスブールだっけ、ショルティだっけ?…)なんかを聴いてみると、すごく洗練された歌い方をしてますよね。少なくとも音楽を聴いている分には「悪女」には聴こえないんじゃないかな?…。ビゼーをあまりにリアリスティックに捉えるのはイタリア・ヴェリズモ・オペラの悪影響だと思うけどね…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/10/14 07:50


オーチャードでの『カルメン』は演奏会形式でした。よほど予算が圧迫していたようで、コーラスも日本の合唱団を使っていましたっけ。おかげでもう・・・(以下削除)

投稿: Orfeo | 2005/10/14 09:07

>この種のカルメン像に先鞭を付けたのはテレサ・ベルガンサ

つまり、単純な悪女じゃないってことですか? それまでは下品で粗野な悪女だった・・ということですか?

>パリでもオペラ=コミック座で上演

それって、ライモンディ絡みですので、いつものようにひとくさり。
演出ピエロ・ファジョーニ、舞台衣裳エツィオ・フリジェリオの、エジンバラ祭の制作を持って来たので、アバドが指揮するはずだったんですが、きのけんさんがおっしゃっているように結局デルヴォーになっちゃった。1980年5月です。
テレビ中継するので、リーバーマンとしては、絶対ライモンディにエスカミーリョをやらせたかったんですよ。
ライモンディはそれまで、エスカミーリョなんかやりたくない!といってオファーがあっても断り続けてたんですけど、はじめて引き受けて、エスカミーリョを歌った、記念すべき舞台です。
一回やれば、やりたくない役もズルズルやるもんなんですね。フランチェスコ・ロージ監督の映画にも出るし、1984年にスカラ座の開幕公演でも歌いました。アバド指揮、ファジョーニ演出、シャーリー・ヴァーレット,ドミンゴです。
これはカレーラス&バルツァ組の公演もありましたが、エスカミーリョは全公演ライモンディでした。

オペラ=コミック座のは、テレビ中継されましたから、映像はありますが、なんとあの画質最悪のドリームなんたらのリリースなんです。
オペラ評論?の大御所の○田○一氏が解説を書いていますが、ライモンディはエスカミーリョ初役なのに、映画にも出ているしさすがに慣れた役であるとか書いちゃってます。どうでもいい解説書かもしれませんが、そのくらい調べて書いてよね、と思いました。
映像で見ても、とても慣れているとは思えない、緊張しているのがわかりますから、こういう評論家は、見ないで書いちゃうのかもしれませんね。
もしかしたら、○田○一氏はきのけんさんとお友達ですか?

投稿: keyaki | 2005/10/14 09:25

>keyakiさんへ:

 …「カルメン」については、二つの偏見が常につきまとっていたよう思います。
 一つは「ジプシー」ということで、おっしゃるような「下品な悪女」というイメージですね。これは、特にフランスでは根強いんじゃないかな。ジプシーならそこいらじゅうに居るしね…。
 もう一つは「スペイン」=アンダルシアというイメージなんですが、忘れちゃいけないのは、これがあくまでフランス・オペラであるという点ですよね。原作だってフランス人メリメだし…。そして音に固執するとすれば、「Don Jose」というのは、少なくとも作曲家ビゼーの頭の中では「ドン・ジョゼ」という音で鳴っていたはづ。ところがスペイン語には「jo」という発音がないんで、ドミンゴをはじめスペイン系のテノールは、ほぼ全員(アルフレド・クラウスならできたはづですが、彼はこの役はやってないでしょ?…)「ホセ」と発音しちゃうわけ。それを他の国の人たちがまた真似しちゃうんだよね。
 そういや、アラン・ロンバール盤グノー《ファウスト》(これだって本当は「フォースト」!、仏語台本は詩人のジェラール・ドゥ・ネルヴァルだぜ)で外第役をやったジャコモ・アラガルが「Demeurez chaste et pure !」(禁欲、純粋であれ!)をやると、スペイン人にとって最も難しい発音ばかり出てくるんで「デメレ・チャステ・ピール」なんてなっちゃって("eu"音無し、"r"音は仏語では巻き舌にならない、"ch"音無し、"u" 音無し)、意味が逆になっちゃうんだよね(笑)。つまり、"pure"=純粋が "pire"=最悪になっちゃうわけ。
 ついでに言っとくとメシアンの《アッシジの聖フランチェスコ》も同様で、メシアン自身の頭の中では「アシジ」は「アシーズ」、「フランチェスコ」は「フランソワ」と鳴っていたのは彼のインタビューに聞いても判りますが、この辺り、オペラ・ファンとか専門家はどう考えているんだろうねえ?…。

 そうそう、ピエール・ベルジェ総監督時代のパリ国立劇場で《カルメン》なら、もちスペイン人演出家だんべってんで、演劇畑のホセ=ルイス・ゴメスというのに演出を任せたんだけれど、スペイン人っつったって、この人はドイツの表現主義演劇を見本にして出てきた人なんで、オペラ座が考えていたような観光絵葉書的なものを作るわけがない。そういう短絡をすると大失敗するという好例でしたね(笑)。指揮はチョン・ミュンフン。

 ベルガンサに関しては、少なくともこの頃まで、カルメンという役に、ロッシーニやモーツァルトを主食としている人、特に彼女はメゾ・コロラトゥーレですよね…が挑戦したことはほとんどなかったのでは?…。だいたいがイタリア・ヴェリスモ系の人たちで、下手をするとワーグナーまで歌っている人たちの持ち役だった。…案の定、あの時もベルガンサはカルメンではないと言われました。ただ、あれを純然たるフランス音楽として聴いてみると〜僕にとってはベルガンサやクレスパンよりはロス・アンヘレスが見本なんですが…:彼女ならワーグナーまでできた人だから理想的ですね…〜ああいう行き方は必ずしも間違っていないと思えるわけ。

 あのシリーズは、例によって、ドミンゴが出るというんで表キャストが即座に満杯になっちゃって、僕は第二キャストのアラン・ヴァンゾーだったんですが、これがなかなかのめっけもので、この人は出がキャバレエの歌手だったもんで馬鹿にされて、さしたるキャリアを築けなかったんですが、フランス式テノールの見本みたいな歌唱スタイルで、少なくとも音楽的にはドミンゴより良かったのでは?…と。このヴァンゾーさんよりはもうちょっと洗練されてますが、ニール・シコフが丁度ああいう具合でした。でも、フランス人だからといって、フランス流の歌唱スタイルを身に着けているとは限らないんで、アラン・フォンダリーがマスネかなんかを歌ったのを聴いたら、もう完全にヴェルディの歌い方になってるんだよね。そう、あの人はなかなか見事なヴェルディアンだった!…。逆にヴァン・ダムみたいなかなり典型的なフランス式のバス=バリトンはイタリア物がそう得意じゃないなんてこともあるし…。

 …というわけで、《カルメン》というのは、音楽を聴く分には、それこそイタリアのヴェリズモ・オペラなんかとは比較にならないくらい洗練された音楽なんだよね。だから、アンネ=ゾフィー・フォン・オッターなんかがやったって不思議じゃないんだよ。確か、クリスタ・ルートヴィヒも若い頃やっていたと思うけど…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/10/15 21:52


Orfeoさん、久しぶりです。同じDVDの視聴記書いていますのでTBさせていただきました。私はかなり肯定的に書いています。基本的にマクヴィガーが好きなのです。
ミゲネス・ジョンソンの映画版もなかなか色気があっていいですよね。スマートなドミンゴも見られるし。
きのけんさんの仰るドン・ジョゼという発音には私もその通りだと思っていますので、記事ではそう書きました。

投稿: dognorah | 2005/10/16 09:29


dognorahさん、こちらこそ、お久し振りです。
TBありがとうございます。

私もけして嫌いではないんですよ、マクヴィカーは。ああいう色調は芝居好きには受けがいいと思いますし・・・。さすが英国の演出家だなあ、という感じです(笑)。

投稿: Orfeo | 2005/10/16 16:12

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» 「カルメン」DVD鑑賞記 [By The Thames]
2002年のグラインドボーンフェスティヴァルで公演されたものの録画である。DVDにBBCと共にNHKの名前も記されているので恐らく日本でも放映されたのであろう。 キャストは次の通り。 Carmen: Anne Sophie von Otter Don José: Marcus Haddock Micaëla: Lisa Milne Escamillo: Laurent Naouri Conductor: Philippe Jordan Director: David McVic... [続きを読む]

受信: 2005/10/16 09:13

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