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2005/08/10

『こうもり』(ザルツブルク音楽祭)

dvd-fledermaus-salzDVDライブラリーより。

ジェラール・モルチエがザルツブルク音楽祭総監督として最後の年に発表した置き土産。お騒がせ演出家ノイエンフェルスを起用した時点で危ない内容になることは予期されていたが、フタを明けると予想を遥かに突き抜けたスキャンダラスで過激な舞台だったため、即座に激しい非難の嵐を巻き起こし、ついには訴訟問題にまで発展した。ナチズム、極右政権の風刺、奇声を発し続けるオルロフスキーを先頭にしたイカれたドラッグ中毒者の集団、性的表現を露骨に表わす踊り、クラブ・ミュージックの大騒音、などなど、観客を挑発するかのような演出が次々と繰り出される。そんな中、音楽面ではミンコフスキが溌剌、颯爽としたヨハン・シュトラウスを展開。ロザリンデのドゥランシュも見事です。

★★

アイゼンシュタイン:クリストフ・ホムベルガー
ロザリンデ:ミレイユ・ドゥランシュ
フランク:ダーレ・デュジング
オルロフスキー:ダヴィッド・モス
アルフレッド:ジェリー・ハドリー
ファルケ:オラフ・ベーア
アデーレ:マリン・ハルテリウス
フロッシュ:エリーザベト・トリッセナール
ほか

バレエ:マルコ・サンティ・ダンス・アンサンブル
合  唱:アルノルト・シェーンベルク合唱団
管弦楽:ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
指  揮:マルク・ミンコフスキ
振  付:マルコ・サンティ
美  術:ラインハルト・フォン・デア・タンネン
演  出:ハンス・ノイエンフェルス

[  収録:2001年8月29日、ザルツブルク・フェルゼンライトシューレ  ]

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コメント

これって、あそこまでカットするのなら、放送しない方がいいんじゃないの、、、というくらいズタズタのを放送して、そのあとカットしてない完全版を放送したんでしょうか?

投稿: keyaki | 2005/08/10 18:09


完全版は放送してないでしょ。だから、私のも、ズタズタボロボロ版です(笑)。

投稿: Orfeo | 2005/08/10 18:31

これは、あの当時のオーストリアの世相を直接反映させたところから出てきた制作だと思います。
ちょうど、極右ネオ・ファシストのイェルク・ハイダー一派が政権に参加してしばらくしてからですね。モルチエなんかがああいう政権と上手くいくはづがないんで、最後に挑発シーズンをやって辞めちゃった…。あの時はウィーン芸術週間の芸術監督だった演出家のリュック・ボンディが仏『リベラシオン』紙にオーストリア極右政権に対する弾劾文を発表したり、エクスその他フランスのオペラ座や劇場がオーストリアとの共同制作を軒並みキャンセルしたり…でえらい騒ぎになったんです。

それにしても、ミンコも随分変わったもんだよな(笑)。リヨン歌劇場の新装開幕イヴェントの時のラモーでは、演出の現代舞踊のカーリン・サポルタと大喧嘩!(その時、間に挟まってえらいことになっちゃったのがパスカルだったんだ!…)。たまたま僕は両方共知ってたんで、両方の言い分を聞いたけれど、もう凄まじい勢いで罵り合ってたぜ。あの時も、なにせ現代舞踊の女闘士にバロック・オペラの演出をやらせるってんで総監督のジャン=ピエール・ブロスマンが先走っちゃった。

モルチエにせよ、ブロスマンにせよ、総監督があまり先走り過ぎると、アーティストはえらい迷惑だよね。ハンス・ノイエンフェルスはフランクフルトで仕事を見たことがありますが、あいつにしたって、モルチエにけしかけられて、えらい迷惑だったんじゃないかな?…。彼なんか、ただ単なるスキャンダル・メーカーじゃなくて、なかなか見事な奴だよ。オペラの仕事ではフランクフルトでブゾーニの《ファウスト博士》とパリでヨーク・ヘラーの《先生とマルグリート》(世界初演)を見ましたが、この二つは僕の見たオペラの中でも最も優れた舞台の部類に属するなあ…。

だから、僕は演劇部門の優れた演出家はオペラなんかに手を出すのはよせ!と言うの…。
ザルツブルクのオペラの客なんか挑発してみたって、どうってこたあないじゃん。そんな暇があったら、演劇部門でちゃんとしたものを作って欲しいよねえ…。

来年のザルツブルクでは復活祭にステファヌ・ブロンシュヴェイクがサイモン・ラトル指揮の《ペレアス…》、翌年スタニスラス・ノルデイが《ラインの黄金》をやるそうだけれど、まあこの二人は、あまり挑発をやるタイプの演出家じゃないけれど、こういう優れた人たちには、あまりオペラなんかにうつつを抜かして欲しくないですなあ!…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/08/13 06:43


サポルタはかってカンパニーを引き連れて来日公演したとき見ましたが、ありゃひどかった!会場からも罵声が飛び、それを文化人類学の大先生が制止するという椿事がありました(笑)。リヨンでミンコが怒るのも分かるな。

ザルツブルクでのミンコはこの頃まだ立場が弱かったんでしょうねえ。ザルツ・デビューだった97年の『後宮』も音楽をズタズタにされてたし・・・。今年あたりはもうちゃんと自己主張も出来るようになったようで、ルーヴル宮音楽隊をしっかり使ってますよね。やっとやり易くなったんじゃないかな、彼は。

ブロンシュヴェイクは最近オペラの演出の話題しか聞かないような気がします。真面目に演劇してるんでしょうかね?

投稿: Orfeo | 2005/08/13 15:01

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