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2005/07/19

『さまよえるオランダ人』(神奈川県民ホール)

DVDライブラリーより。

蜷川幸雄にしちゃ随分と大人しい舞台だ。さすがにオペラともなると(これが彼にとってオペラ初挑戦だった)、彼の得意とするマジック的趣向や激しい群衆の動きを披露するのには二の足を踏んだと見える。逆にワーグナーの台本を忠実に表現しようとする姿勢が強いようで、動いたり沈んだりする船の扱い方や結末のゼンタとオランダ人の昇天の表現などにそれが如実に現われている。でも、ここまで馬鹿正直にやられると、なんだか気恥ずかしくなるのも事実。小澤の付ける音楽は丁寧で美しいが、ジョゼ・ヴァン・ダムやコネルたちにまるで遠慮でもしているかのように押しが足りない。

★★

オランダ人:ジョゼ・ヴァン・ダム
ダーラント:ハンス・ゾーティン
ゼンタ:エリザベス・コネル
エリック:若本明志
マリー:郡愛子
舵取り:ウーヴェ・ハイルマン

合  唱:東京オペラ・シンガーズ、晋友会合唱団
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
指  揮:小澤征爾
美  術:鈴木俊朗
衣  裳:小峰リリー
照  明:吉井澄雄
演  出:蜷川幸雄

[  収録:1992年3月11日、神奈川県民ホール  ]

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コメント

あっ、この話僕のやったヴァン・ダム・インタビューに出てきますよ。この計画の話が…。やったんですか!ギャラに問題があるようなことを言ってましたが。そういや、ヴァン・ダムも欧州での小澤もマネージャはカラヤンと同じミシェル・グロツでしたよね。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/07/20 04:51


ヴァン・ダムのインタビュー、読み応えがありますよね。カラヤンの話、ロッシーニとモーツァルトの話、フランス様式の話、などなど、非常に勉強になります。
インタビュー集成へのリンクを貼らせていただきます。

http://perso.wanadoo.fr/kinoken2/intv/intv_acc.html

投稿: Orfeo | 2005/07/20 16:35

きのけんさん
このインタビュー、このブログを知る前にすでに読ませて頂いてまして、とても面白くて、日本人でも海外在住の評論家さんは、ちゃんとしたインタビューができるんだぁ・・と感激したんです。

エエーー、私がとても興味を持ったのは、レイミーについてのところです。
>あれこそ天賦のバス・コロラトゥーレです
といいながら、たいしてうらやましいとも思ってない風で、それほど褒めているともとれない・・・

これは、きのけんさんがふった話題ですよね。
(他の歌手を褒めるような質問っていいのかしら)

90年のインタビューですから、レイミーは、ロッシーニだけ歌ってりゃいいものを、レパートリーをどんどんひろげてきて、自分の領域にも入って来てるゾ!
みたいな感じを受けて笑っちゃったんですけど。
そう思ったのは私だけかしら??

今のレイミーって、声の「揺れ」がまず話題になるような状態のようですけど・・・・ライモンディとほぼ同年ですので、私も興味があって、ちょっとその「揺れ」なるものをネット放送で聴いてみましたが、確かに、船酔いするくらいひどいときもありますよ。
メトのパヴァロッティのさよなら公演では、パヴァロッティよりもレイミーのwobbleの方が問題だ! と言っている人もいましたね。
パリでは人気者のようで、まだボリスを歌ったりしてますね。お聴きになりましたか?

投稿: keyaki | 2005/07/20 20:11

>keyakiさん:

光栄です!
要するに、1970年代からしょっちゅう楽屋なんかで会って話していたんで、気楽にリラックスしてお喋りできたからだと思いますよ。
 もし機会があったら、あれが『レコ芸』でどういう形で出たか、調べてご覧になると面白いですよ。…まあ、「カラヤン追悼」という形で出してもらったんで、文句はありませんが、勿体ないから、その数年後に日本R・シュトラウス協会の年報の押っつけて全文を掲載しちゃいました。ちゃんと全部出してくれましたよ。その次の年には、あんな長いのは困るって言われちゃいましたけど(笑)。

 レイミーについては、出てきた時、おっ、ライモンディの好敵手が出てきたぞってな感じでしたね。ただ、あんなに声の変わった人も珍しい…。デビュー当時はロッシーニの《セミラーミデ》(エクス音楽祭)ですごく良くて、モーツァルトのフィガロ(ハンブルク)にはちょっと軽すぎてソワソワしているという感じだったんです。それから5年くらい経ってボイトの《メフィスト》(パリ)で聞いた時、すごいスケールが大きくなっていたんで仰天した。あの時期(1980年代前半〜中期)にこのままの声ではレパートリーが限られてしまう、ということで急に声を太くした形跡があるなあ…。やっぱりちょっと声に無理がかかってるから、調子の悪い時は、やっぱし揺れる!…。
 当時のヴァン・ダムはそろそろオペラから引退しようと考えていたようで(…まあ、今でも舞台に立ってますが)、むしろ自分の良き後継者がでてきた、という感じでしたね。そうそう!あれは優秀な奴だよーってな感じ。
 でも、あの人の声では「揺れ」はやっぱり出るでしょうね。だって初めはあんな声じゃなかったんだもん。最初はバス・ブッフォか低めのバリトンみたいだったんです。
 これと似たような感じを持ったのがドイツのルネ・パーペで、最初ショルティ指揮のハイドン《天地創造》に出てきた時は、まさにバリトンがかったバロック風バスだったのが、その数年後、バレンボイムとのワーグナーやロコ(《フィデリオ》)でちゃんとした深いバスになってるんで、びっくりした憶えがあります。その辺り、バス歌手の声の発展というのは非常に不思議なものなんですが、ライモンディはどうでした?…。ジュリーニの《ドン・カルロ》を聴く限り、あの人は最初から資質としてたいへん優れたものを持っていたみたいなんで、無理に声を豊かにしたという感じをまったく持たないんですね。彼は地声もああいう声だし…。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/07/21 07:01

ヴァン・ダム1990年に引退って、そりゃまた早すぎないですか。今も大活躍ですよね、雑誌で、女装しているのを見ましたよ。笑)

ライモンディは、アメリカンとは違って、デビュー前から、オペラ歌手の先輩達が周りにいる、タッデイとかカップッチッリとかパネライ、そういう環境で育っているわけですよね。指揮者とか演出家にも恵まれていると思います。レパートリーの変化を見ていくと、考えてやっているのがよくわかります。
声も自然な声で、作ったことはないと思います。もちろん若い頃とはおなじではないです。瑞々しさとか、輝きは当然失われていますが、そのほうがかえってピッタリの役に移行しているのではないでしょうか。
若い頃から、本当のバスではないと評論家からはいじめられていますが、彼自身、自分は深いバスではありません、バッソ・カンタンテです・・・と言っています。
レイミーは、本当のバスとかだそうで、日本の批評家?はお好きなようですけど。
私には、作り声に聞こえてダメですし、演技派を自認しているところがなんともね。動きはぎこちないですし、無意味に手が前に出ますし、大きな声を出すときは、必ず上半身を揺すりますし、口は曲がるし・・・
でも、こいうのがオペラ歌手と思っている人が多いですから、そういう人は、おかしいとは思わないようですね。
私は、「声だけ派」の方とは話が噛み合わないです。
アメリカンの歌手で好きなのは、ミルンズだけかな。

ヴァン・ダムも自然な声で、背は低いですが顔の骨格が似てませんか? ロージーのドン・ジョヴァンニで、横顔がそっくりですよね。声も似ていますね。
「仮面の中のアリア」でしたか、面白かったですね。

アラン・レネ監督の「メロ」注文しました。食事の場面に出ていたらブログでご報告します。

投稿: keyaki | 2005/07/21 14:59

Keyakiさん:
 オペラ引退の話は自分でそう言ってたぜ。これからはオペラをどんどん減らして歌曲をやるんだって。確かに、その直後仏フォルラーヌへの録音が増えますよね(この会社、倒産しました)。アファナシエフ伴奏なんて珍品があったじゃない(笑)。あれは、エル・バシャと再録したはづなんだけれど、なにせその間にフォルラーヌが倒産したから出たかどうか?…。
 うん、レイミーは必ずしも嫌いじゃないですが、確かにあの声は作った声だよね。最初あんな声じゃなかったもの!…。少なくともライモンディ流の天性の自然の声とは違うよね。あれと似た感じを持つのがアルトのナタリー・シュトゥッツマンで、あれも相当作った声だよね。ライモンディは地声もああいう声ですが、確かに彼女は男みたいな声してるけれど、あんなにまでではないもん。
 その辺り不思議なのがヴァン・ダムで、あんなチビからよくあんな声が出るなあ!…て。あいつ、裸にしてみたら、それこそジャン=クロード・ヴァン・ダムとか、シュワルツェネガーみたいに筋肉隆々だったりしてね(笑)。
 ミルンズも好きです。例の《ナブッコ》の時によく楽屋に行ってました。彼は結構ドイツ物もよくできて、《サロメ》のヨカナアンなんて良かったですよ。
 ミルンズでよく憶えているのは《オテロ》でジョン・ヴィッカーズと共演した時。79年だったかな?…。ヴィッカーズはもう高い声が出ないの。二重唱で二人でハモる時、ミルンズの声がわーっと上がって、ヴィッカーズの声がうーっと下がって見事にハモっちゃった!ええーっなんて(笑)。指揮のネロ・サンティも呆気にとられて口をあんぐり開けて見ていたぜ。オペラ座のアヴァン・セーヌのロージュなんかに居ると、色んなものが見えるんだよね(笑)。
きのけん

投稿: きのけん | 2005/07/21 19:03

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